フレイルってどんな人がなるの?

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「フレイル予防のために食生活や運動習慣の改善をしてください」

このように、医師から「フレイル」という言葉を聞いたことはないでしょうか。

年齢とともに頭や体の働きが弱くなるのは、自然なことです。

ただ、著しい体力の低下や外出の機会が減ると、自立した生活が難しくなって介護が必要になったり、病気になったりする可能性が高くなります。

そこでこの記事では、介護や医療の世界でよく使われるようになった「フレイル」について紹介します。

年齢によって心身機能が減退するフレイルの特徴や原因、なりやすい人や予防法まで、健康的な一生を過ごすためのポイントをまとめましたので、ぜひご一読ください。

フレイルとは

フレイルとは英語の「Frailty(フレイルティ)」が由来の用語です。日本では「虚弱」「老衰」を意味します。

加齢によって、身体機能や認知機能の低下、老人うつや認知症といった精神的な問題が強く現れる状態です。

フレイルの判断基準

なお、フレイルと判断される基準は、次の5項目です。

1.体重が減少した
「食事や運動など生活習慣は大きく変化はしないのに、半年で2kg以上体重が減った」

2.歩くスピードが落ちた
「歩行速度が1秒あたり1.0m以下になっている」

3.握力が低下した
「握力測定をすると、男性は28kg以下、女性は18kg以下になった」

4.疲労感が強い
「2週間程度、とくに何もしていないのに強い疲労感がある」

5.運動不足になっている
「簡単な運動や体操もしていない」「運動習慣がない」

5項目のうち、0項目だと健常、1〜2項目はフレイルの前段階であるプレフレイル、3項目以上当てはまるとフレイルと評価されます。

(参考)フレイルの診断|健康長寿ネット:公益財団法人長寿科学振興財団

フレイルの3つの特徴

フレイルの高齢者は、次の3つの特徴があります。

●加齢によって心身機能が低下している

●複数の持病によって日常生活で困りごとが増えている

●介護予防など適切なサポートをすれば生活のために必要な運動機能や認知機能の維持・向上が期待できる

このうち、3番目の「介護予防など適切なサポートをすれば生活のために必要な運動機能や認知機能の維持・向上が期待できる」という点がとても重要です。

老年医学の分野では、健康な状態と介護が必要な状態、その中間をフレイルと呼び、介護予防の大切さを啓発してきました。つまり、一度フレイルになった人も、生活習慣の改善や介護予防を続けると、健康状態を取り戻す可能性を持っているのです。

フレイルになりやすい人

フレイルになりやすいのは、どのような人でしょうか。鍵を握るのは、生活機能の低下です。

生活機能を低下させる原因は、大きく分けて次の2つあります。

● 病気

● 老化現象

とくに1番目の「生活習慣病などの病気やケガ」のうち、生活習慣病などの持病があるとフレイルになるリスクが高くなるのがポイントです。

では、ひとつずつ見ていきましょう。

● 病気

フレイルの人は、糖尿病や脂質異常症、高血圧など生活習慣病を抱えているケースが多く見受けられます。加えて、がんや脳卒中、心臓病や腎臓病といった病気によって、フレイルが加速します。

複数の持病がある場合、早ければ60代前半でフレイルになるといわれています。

● 老化現象

運動機能や認知機能をはじめ口腔機能の低下など、加齢によって健康状態が減衰するとフレイルになりやすくなります。

また、食欲低下や経済的事情などによる低栄養状態、社会とのつながりが薄くなって閉じこもりや老人うつなどが加わるのも原因です。

60代から70代前半に入り、病気の治療や健康管理に陰りが見え始めると、老化による生活機能の低下が一気に訪れるため注意が必要です。

(参考)フレイルとなる原因は何?|東京都福祉保健局

フレイルの予防法

フレイルを予防するには、次の3つのポイントを日常生活に取り入れることが大切です。

● 食事

● 運動

● 社会参加

とくに2番目の「運動」は、短時間の軽い散歩でも健康の維持に役立つため、ぜひ取り入れたいポイントです。

では、ひとつずつ紹介していきます。

● 食事

栄養バランスの良い食事は、運動機能の維持・向上に欠かせません。とくに筋肉を作る肉や魚、大豆製品や卵といったたんぱく質を多く含む食品を積極的に食べるようにしましょう。野菜や海藻を多く取り、ビタミンやミネラル、食物繊維を十分に摂取することも大切です。

食生活を見直すと、食べる楽しみも取り戻せるのでメンタルケアにもつながります。

● 運動

日常的によく歩いて足腰を動かしましょう。また、自宅でできる体操や簡単な筋トレなどを続けると、筋力がアップして病気の発症や転倒のリスクを抑えられます。

普段運動習慣のない場合は、1日5〜10分程度の軽い散歩や体操など無理のない範囲で始めて、少しずつ運動量を増やすことをおすすめします。

● 社会参加

外出をして買い物を楽しむ、趣味やボランティアなどの集まりで活動するなど、社会との関わりを維持することはフレイル予防に欠かせないポイントです。シルバー人材センターや内職といった、高齢者でもできる仕事を続けるのもおすすめです。

社会参加は、気持ちの安定や孤独感の軽減にもなるため、食事や運動とともに前向きに日常生活で取り入れてみてください。

まとめ:フレイルを予防して健康的な生活を

病気や老化現象によって起こるフレイルをそのままにしておくと、将来的に介護が必要な状態になり、日常生活にさまざまな支障をきたすようになります。

そのため、日頃から食事や運動、社会参加といったフレイル予防に取り組みことが大切です。

フレイルまたはプレフレイルの状態になっても、生活習慣の改善によって再び健康な状態を取り戻すことは可能です。

健康なシニアライフを送るためにも、日常生活で取り組みやすいポイントからフレイル予防をしていきましょう。

► 参考URL

フレイル予防|公益社団法人 東京都医師会

フレイルとは|健康長寿ネット:東京都福祉保健局

フレイルとなる原因は何?|東京都福祉保健局

フレイルの原因は?|国立長寿医療研究センター

【はじめての方へ】フレイルとは何かを知って、介護予防|LIFULL介護

フレイルの診断|健康長寿ネット:公益財団法人長寿科学振興財団

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