
「牛乳はカルシウムが豊富で骨を丈夫にする」と言われます。一方で、「骨粗しょう症予防など骨の健康に牛乳は効果がない」という噂を聞いたことはありませんか? 実は、この噂には根拠がないことが分かっています。
この記事では、牛乳と骨粗しょう症の関係について、科学的な根拠に基づいて解説します。牛乳が骨を強くするのに効果的なのか、また、牛乳が飲めない方、苦手な方はどうすればいいかについても紹介しますので、最後までご一読ください。
骨粗しょう症とは?

骨粗しょう症は、骨密度が低下し、骨が弱くなる病気です。転倒や骨折のリスクが高くなり、日常生活に支障をきたす可能性があります。骨粗しょう症は、女性に多く見られ、加齢とともに発症リスクが高くなります。そのため、特に高齢者は骨粗しょう症をはじめ骨の健康管理が重要です。
骨粗しょう症の主な症状は下記の通りです。
・痛みなどの症状はほとんどありません。
・転倒や軽い衝撃で骨折しやすくなります。
・背中や腰が痛くなる、丸くなる、身長が縮むといったケースが多いです。
・骨折した場合、その部位に生じる痛みで動くことが困難になります。
健康な骨は常に新しい骨が形成され、古い骨が壊されるという代謝を繰り返しています。この骨の代謝のバランスが崩れ、骨密度が低下し骨がスカスカに脆くなった状態が骨粗しょう症です。
主な原因としては、加齢や女性ホルモンの減少、カルシウムやビタミンDの不足、運動不足や喫煙習慣、ステロイド剤の長期服用による副作用などがあります。
骨粗しょう症の診断は主に整形外科で行われています。具体的な診断方法は、X線検査や骨密度の測定検査が中心です。
参照:「骨粗鬆症(骨粗しょう症)」|日本整形外科学会 症状・病気を調べる
牛乳と骨粗しょう症の関係

牛乳は、骨粗しょう症の予防に効果的な食品であることが、多くの研究結果によって示されています。牛乳には、骨を強くするのに必要なカルシウムが豊富に含まれているだけでなく、ビタミンDやタンパク質など、骨の健康に重要な栄養素も含まれています。
まず、骨の健康と言えばカルシウムが知られています。カルシウムは骨の主成分であり、骨密度や骨の強度を維持するために不可欠な栄養素です。カルシウムの一日の推奨量は女性75歳以上600mgで、牛乳1杯(200ml)には227mg含まれているため、1日推奨量の3分の1を手軽に摂取できます。
また、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。牛乳には、ビタミンDが微量含まれています。
そして、タンパク質は骨を構成するコラーゲンの材料であり、骨の強度を維持するために重要です。牛乳には、良質なタンパク質が豊富に含まれており、介護予防で重視されるロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防にも繋がります。
さて、「牛乳を飲むと骨粗しょう症になりやすい」という噂を聞いたことはありませんか? 一部で、牛乳や乳製品を摂取すると骨粗しょう症になりやすいという説が広まっていますが、現時点において科学的な根拠に基づいたものではないと考えられています。
実際に、牛乳のメリットに関する研究によると、牛乳を定期的に摂取する人は骨密度や骨強度が高いため、骨粗しょう症や骨折のリスクが低いことがわかっています。
牛乳が飲めない方のカルシウム摂取のコツ

「牛乳を飲むとお腹が緩くなる」
「牛乳の味やニオイが苦手」
など、どうしても牛乳が飲めない方は、下記の方法で骨粗しょう症予防に取り組みましょう。
● 牛乳以外のカルシウムを多く含む食品を摂取する
ヨーグルトやチーズなどの乳製品、小魚、海藻、豆腐、納豆、緑黄色野菜など
● ビタミンDを摂取する
日光浴、サプリメント
● 適度な運動をする
筋トレ、ウォーキングなど
上記の方法を組み合わせることで、効率良く大切なカルシウムを摂取できます。
まとめ

牛乳は骨粗しょう症予防に役立つだけでなく、骨を丈夫にするなど健康的な食生活にも欠かせない食品です。牛乳が飲める方は積極的に摂取し、飲めない方は他の方法でカルシウムやビタミンDを補給しましょう。
◆ 牛乳にはカルシウムやビタミンD、タンパク質が豊富に含まれ、骨粗しょう症予防をはじめ健康管理に効果的です。
◆ 牛乳の過剰摂取は避け、1日コップ1〜2杯程度を目安にしましょう。
◆ 骨粗しょう症の予防には、運動や禁煙なども重要です。
様々な研究データからも、牛乳は、骨の健康維持に欠かせないカルシウム、ビタミンD、タンパク質を豊富に含んだ、まさに骨の強い味方であることがわかっています。牛乳を定期的に摂取することで、骨粗しょう症や骨折のリスクを低減することが可能です。
牛乳にまつわるネガティブな噂はさておき、毎日の食生活に積極的に牛乳を取り入れ、健康な骨を守る食習慣を身につけてみませんか?
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