
介護施設に大切な家族を預けていても、急な体調変化やケガへの不安は尽きないものです。
ただ、実際の緊急時に現場でどのような対応を受けられるか、わからない方が多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、施設での緊急時対応のポイントと、万が一の事態に備えて家族として知っておくべきことを紹介しますので、最後までご一読ください。
介護施設における緊急時対応の基本

特別養護老人ホーム(特養)や民間の介護付有料老人ホームなど入所系施設では、入居者の急な体調変化やケガに備えて、24時間体制の対応体制を整えています。特に夜間は職員が限られるため、緊急時のマニュアルや連絡体制を事前に定めています。
施設で高齢者によく生じる主な緊急事態は、
● 転倒
● 発熱
● 嘔吐
● 意識消失
などが一般的です。
こうした万一の事態が起きた際、介護スタッフは定められた手順に従って対応します。
まず入居者の状態を確認し、必要に応じて看護師や医師に連絡。現場の状況や本人の状態によっては救急搬送の判断も行います。
家族に求められる重要な役割

老人ホームに入居している家族に万一の事態が起きた際、医療行為を伴う判断は施設だけではできないという点が重要です。
手術や入院など、生命に関わる重要な判断は、必ず家族の同意が必要となります。そのため、施設が家族と連絡がつかない場合、入居者本人の治療が遅れ、大きな支障をきたす可能性も意識しておかなければなりません。
特に救急搬送時には、搬送先の医療機関での処置について家族の判断が求められます。そのため、介護職員や看護師のサポートする老人ホームにいるからといって、すべてを任せきりにすることはできず、実際に受ける医療は家族が判断しなければなりません。
日頃からの備えと心構え

では、家族としてどのような備えが必要でしょうか。下記で2つのポイントを紹介します。
1.確実な連絡体制を確保する
日中、夜間それぞれの緊急連絡先を決め、施設側に共有することが重要です。電話やメールなど複数の連絡手段を用意しておきましょう。
また、家族内でも緊急時の対応順位を決めておくと良いでしょう。例えば、第一連絡先を長男、第二連絡先を長女、第三連絡先を配偶者というように、あらかじめ順番を決めておきます。
2.医療に関する希望を施設に共有しておく
緊急時の医療に関する希望を事前に本人と話し合い、施設と共有しておくことも大切です。
手術や入院を伴うような場合、本人が意思表示できない状態である可能性が少なくありません。
そこで、例えば、どのような状態になったら救急搬送を希望するか、延命治療についてどう考えるかなど、できるだけ具体的に話し合っておきましょう。
緊急時に備えた具体的な準備

緊急時に備え、下記のポイントで一つずつ準備を進めておきましょう。
・複数の緊急連絡先を登録する
・かかりつけ医や希望する医療機関の確認をする
・医療に関する本人の意思確認をする
・必要な書類や保険証の準備をしておく
・定期的な面会で本人の状態把握をしておく
突然の緊急事態でも、こうした準備をしておくと施設側もスムーズな対応がとれます。大切な家族のために、できることから始めていきましょう。
施設と協力しながら、安心できる介護環境を作っていくことが、結果として本人の安全と健康につながります。
まとめ

介護施設での緊急時対応は、施設と家族の連携があって初めて機能します。
「すべて施設にお任せ」ではなく、必要な場面で適切な判断ができるよう、日頃からの備えと心構えを持っておくことが大切です。
定期的に面会して様子を確認したり、気になる点を相談したりなど、施設と良好な関係を築き、入居者本人のためにベストな対応ができる環境を整えましょう。
参考:高齢者施設における救急対応マニュアル作成のためのガイドライン_救急・災害医療_東京都保健医療局
参考:救急要請ガイドブック (高齢者施設編) – 京都市