介護保険の地域密着型サービスの選び方と違い

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親の介護が必要になってきた時、まず頭を悩ませるのが介護サービスの選び方ではないでしょうか。特に、現役世代の場合、仕事と介護の両立を考えると、どのサービスを選べば良いのか判断に迷うものです。

そんな中で注目したいのが「地域密着型サービス」という介護保険サービスのひとつです。住み慣れた地域で本人に必要なケアが受けられ、家族の負担も軽減できます。

そこでこの記事では、地域密着型サービスの特徴や選び方のポイントを、入居系サービスを中心に分かりやすく解説します。親の状態に合った介護サービス選びのヒントとして、最後までご一読ください。

地域密着型サービスとは?

「できるだけ家の近くで介護サービスを受けたい」

「自宅のある地域でできるだけ暮らし続けたい」。

こうした高齢者とその家族の願いに応えるために作られたのが、地域密着型サービスです

市町村単位できめ細かなケアを提供し、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けるための介護が受けられる点が最大の特徴です。定員が限られた小規模な施設が多く、顔なじみのスタッフによる丁寧なケアを受けられることから、特に認知症の方や要介護度が高い方に向いています。

サービスの特徴と利用条件

地域密着型サービスを利用するには、主に以下の条件を満たす必要があります。

特に、住所地の条件は重要です。例えば、A市の地域密着型サービスは、原則としてA市に住んでいる方のみが利用できます。可能な限り住み慣れた地域で暮らし続けてもらうという、地域密着型サービスの理念に基づいています。

サービスは10種類

地域密着型サービスは、合計10種類のサービスがありますが、大きく4つのカテゴリーに分類できます。

1.入居系サービス

施設に入居して日常生活全般のサポートを受けられます。グループホームは5~9人という少人数での共同生活が特徴で、認知症の方に特化したケアを提供しています。地域密着型特定施設は定員30人未満の介護付き有料老人ホームで、自立度に応じた柔軟なケアが受けられます。

2.通所系サービス

自宅から通いながら、日中の介護や機能訓練を受けられます。地域密着型通所介護は定員18人以下の小規模なデイサービスで、アットホームな雰囲気が特徴。認知症の方向けの専門的なケアを提供する施設もあります。

3.訪問系サービス

自宅での生活を24時間体制でサポート。定期的な訪問に加えて、緊急時の対応も可能です。介護と看護を一体的に提供するサービスもあり、医療ニーズの高い方にも対応できます。

4.複合系サービ

「通い」「泊まり」「訪問」を組み合わせて利用できる柔軟な介護保険サービスです。その時々の状況に応じて必要なサービスを選択できます。看護サービスを組み合わせたタイプもあり、医療ニーズにも対応可能です。

このように、地域密着型サービスは、利用者の状態や生活スタイルに合わせて選択できる多様なサービスを用意しています。特に、小規模ならではの家庭的な雰囲気と、きめ細かなケアが受けられる点が大きな魅力といえるでしょう。

参照:厚生労働省 関東厚生局「地域密着型サービスの概要」
参照:健康長寿ネット「地域密着型サービスとは」
参照:厚生労働省「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」

家族で考える地域密着型サービスの選び方

地域密着型サービスを選ぶ際、最も重要なのは親の心身状態に合った施設選びです。例えば、認知症で見守りが必要な場合はグループホーム、常時介護が必要で医療的ケアも必要な場合は看護職員が手厚く配置された施設から選ぶ視点が求められます。

費用面では、グループホームで月15~20万円程度、地域密着型特定施設で15~30万円程度が目安です。収入に応じて利用できる減額制度もあるため、経済的負担が心配な方はケアマネジャーに相談しましょう。

利用までの一般的な流れは、まず情報収集から始まり、施設見学、申込み・契約締結、待機を経て入居となります。特に特別養護老人ホームは待機期間が長いため、早めの準備が必要です。

24時間体制の見守りがある入居系サービスは、仕事と介護の両立において心強い味方となりますが、定期的な面会や施設との連絡調整は必要なため、移動時間なども考えながら選びましょう。

まとめ

住み慣れた地域で過ごしたい親の希望と、仕事を続けながら安心して介護に関わりたい家族の思いを両方叶えたい場合、地域密着型サービスがおすすめです。

親の心身の状態は徐々に変化していくため、定期的な面談や施設との連絡を通じて状態を把握し、必要に応じてサービスの見直しを検討しましょう。迷ったときは地域包括支援センターに相談をすることで、介護の専門家により地域の特性を踏まえ、親と家族の事情に合わせたアドバイスが得られます。

親が安心して地域で暮らし続ける理想と、家族の仕事との両立を実現できる地域密着型サービスを上手に活用するためには、早めの情報収集と準備をおすすめします。