高齢者はたんぱく質が必要って1日どのくらい?

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高齢者は、若い頃と比べて意外にもタンパク質の必要量が増加します。筋肉量の維持や健康な生活を送るために、毎日しっかりとタンパク質を摂取する食生活が重要です。

しかし、「高齢者はたんぱく質をどのくらい摂ればいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

そこでこの記事では、高齢者に必要なたんぱく質の1日の摂取量や、効果的な摂取方法、おすすめの食品などをまとめて紹介します。サルコペニア予防や健康的な老後のためのヒントにも触れていますので、最後までご一読ください。

高齢者こそタンパク質が必要な理由

たんぱく質は、私たちの体にとって欠かせない栄養素の一つです。主に以下のような重要な役割を果たしています。具体的には、筋肉や臓器の構成要素であり、酵素やホルモンの原料です。そのため、免疫機能の維持や体内の水分バランスの調整、エネルギー源として欠かせない栄養素となっています。

高齢者がたんぱく質を必要とする理由は、加齢に伴い、筋肉量や筋力が低下することが進行し、日常生活に支障をきたす恐れがあるためです。特に、高齢者は感染症への抵抗力が低下することから、免疫力を高めるためにも必要な栄養とされています。

そして、たんぱく質は肉や魚、大豆製品に豊富なため、食事の満足感を高めるためにも役立ち、満腹感を持続させる効果が大きいです。食欲の低下が見られる高齢者にとってもおいしく食事を楽しむのに効果が期待できます。

サルコペニアとたんぱく質の関係とは?

サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の減少と筋力低下によって、歩く・座る・立つなどの日常生活動作が上手くできなくなり、転倒や骨折のリスクが高まる状態です。日常の生活の質を著しく低下させる可能性があるため、高齢者の健康にとって重大な問題となっています。

サルコペニアを予防するためには、十分なたんぱく質の摂取が求められます。体重1kgあたり1.2~1.5gのたんぱく質摂取が、サルコペニアのリスク低下に効果的とされています。

具体的な食品を挙げると、卵1個(約6g)、鶏むね肉1枚250〜300g(約20g)、木綿豆腐(約7g)などとなっています。

このように、高齢者は食事を通して積極的にたんぱく質を摂取する意識が大切です。

参照:ロコモティブシンドローム/サルコペニア/フレイル _ 生活習慣病 _ 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
参照:三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量 _ 健康長寿ネット

たんぱく質を効率よく摂取するコツ

たんぱく質を効率良く摂取するには、食品選びが大切です。

そして、次のポイントを意識して食生活を改善しましょう。

たんぱく質は1日の食事で均等に分けて摂取することが効果的です。各食事で主菜にたんぱく質源を含めるよう心がけましょう。

動物性たんぱく質は必須アミノ酸を豊富に含み、吸収率も高いため、高齢者には特におすすめです。一方で、植物性たんぱく質は動物性に比べてアミノ酸の種類やバランスがもうひとつな場合もありますが、豆腐や豆類を積極的に取り入れることで、栄養バランスが良くなります。

高齢者は1回の食事量が少なくなりがちです。そのため、間食を活用してたんぱく質をカバーしましょう。
例えば、ヨーグルトや豆乳、チーズ、ナッツ類のほか、プロテインバーやプロテインゼリーなどがおすすめです。

たんぱく質と運動との関係

たんぱく質は運動を行うことで、より効果的に筋肉量を維持・増加させることができます。

特に筋力トレーニングを行うと筋肉を刺激し、たんぱく質の合成が促進されるため、食生活とあわせて定期的な運動もサルコペニア予防や筋力維持に効果的です。

自宅でも簡単にできるスクワットや腕立て伏せなどの筋トレや、1日30分程度のウォーキング、柔軟性を高めケガ予防にも役立つストレッチなどを日常生活に取り入れましょう。

まとめ

高齢者にとってたんぱく質は、筋肉維持や免疫機能向上、日常生活の質を高めるために不可欠な栄養素です。高齢者に増加するサルコペニアを予防するためには、たんぱく質を効率的に摂取し、運動を併せて行いましょう。

ただし、腎機能が低下している場合やその他持病がある方は、たんぱく質の摂取量が制限されることがありますので、必ず医師や栄養士に相談してください。

参照:高齢者、もっとタンパク質を~ 推奨量は下の世代と同じ~|こちら診察室|時事メディカル|時事通信の医療ニュースサイト