
「そろそろ親の介護が必要になるかも……」「初めて要介護の状態になりそうだけど、何から始めればいいの?」
ご家族で、このような不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
しかし、決して1人で悩む必要はありません。 介護保険制度には、地域包括支援センターやケアマネージャーなど、たくさんの相談窓口があります。まずは「相談してみる」ことから始めると、スムーズにサポートを受けられ、安心して介護に向き合えるようになります。
本記事では、初めて介護に直面するご家族が知っておきたい心構えや相談先、そしてケアマネージャーに相談するメリットについてお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. 介護が必要になる前に知っておきたいこと

1-1. 「いつか」は突然やってくる
介護が必要になるタイミングは、人によって異なります。事故や病気などで突然要介護状態になる場合もあれば、「物忘れが増えた」「身体機能が少しずつ低下した」という段階的な変化で介護が必要になることも。
● 兆候を見逃さない
毎日の生活で「以前と違うな」と思うことが増えたら、早めに相談しておくと安心です。
● 情報収集をしておく
いざというときに慌てなくて済むよう、地域の介護サービスや制度を調べておきましょう。
1-2. 介護の主役はご本人
家族としては「サポートしなくちゃ!」と気負いがちですが、介護の中心はあくまでもご本人です。自分でできることを大切にしながら、自立した生活を送れるようにサポートするのが理想的。
● 本人の思いを尊重する
生活習慣や価値観、希望をしっかり聞きましょう。
● できることを伸ばす
必要以上に手を貸しすぎないで、「自分でできる」範囲を維持することも大切です。
2. 初めての要介護に遭遇したら〜心構えと最初のステップ

2-1. 心構えは「一人で抱え込まない」
「自分たちだけでなんとかしなきゃ……」と悩んでしまう方も多いですが、決して一人で抱え込む必要はありません。
● 周囲の協力を得る
兄弟姉妹や親戚、友人などに早めに声をかけましょう。
● 仕事との両立にも配慮
介護休業や短時間勤務など、働き方を調整できる制度もあります。まずは会社に相談してみることが大切です。
2-2. まずは市区町村の窓口で要介護認定を申請

公的な介護サービスを受けるには、要介護認定を受ける必要があります。手続きは市区町村の介護保険担当窓口で行います。
● 主治医の意見書が必要
要介護認定の審査では、本人の身体状態や生活状況を確認すると同時に、かかりつけ医(主治医)の意見書も大きな判断材料になります。
そのため、事前に主治医に「要介護認定のために意見書を書いてほしい」という旨を伝え、了承を得ておくことが重要です。診察の際に主治医に相談してみましょう。
● 認定が確定するまで約2ヶ月かかることも
申請を行った後、市区町村の職員や委託された調査員が自宅を訪問し、本人の心身の状態を調査します。また、医師の意見書も合わせて審査され、正式に要介護度が決定します。この一連のプロセスには1〜2ヶ月ほどかかる場合があります。
余裕を持って手続きを進められるよう、早めに申請することが大切です。
● 介護保険被保険者証を確認
65歳以上の方は、介護保険被保険者証を申請時に提示します。
● 認定を受けたらケアマネージャーの出番
要介護度が決まったら、ケアマネージャーと一緒にケアプランを作っていきます。
3. 「相談窓口を作る」ことが大切な理由

3-1. 地域包括支援センターとは?
地域包括支援センターは、高齢者の相談ならどんなことでも受け付ける総合窓口です。保健師や社会福祉士、主任ケアマネージャーなどの専門職が常駐しています。
● 利用は無料
どんな小さな悩みでも気軽に問い合わせ可能。
● 要介護認定前でもOK
「まだ要介護じゃないけど心配…」という段階で相談できます。
3-2. ケアマネージャーに相談するメリット
多くの方が「何から始めればいいのかわからない」という気持ちを抱えておられます。そこをサポートするのがケアマネージャーの役割です。

● 適切な介護サービスの提案
訪問介護、デイサービス、福祉用具レンタルなど、ご本人やご家族の状況に合ったサービスを組み合わせます。
● 定期的なフォロー
状況が変化すればケアプランも修正。常にベストな状態を目指す。
● 不安や悩みの相談相手
介護に関する疑問や心配事、ちょっとした愚痴も含め、何でも話してください。
3-3. 関連機関・サービスも多彩
● 社会福祉協議会
生活全般に関する相談や、地域のボランティアサービス紹介など。
● NPO法人や家族会
同じ立場の人と情報交換できる。悩みを共有する場として有効。
● 医療機関
かかりつけ医や専門医との連携は重要。認知症や持病への対応を確認します。
4. 自宅介護と施設介護の選択肢〜無理せず行動を

4-1. 自宅介護を選ぶなら「負担を軽減する工夫」を
在宅介護の場合は、家の中を安全に改修したり、福祉用具を使ったりして、介護者・要介護者双方の負担を減らすのがコツです。
● 手すりの取り付けや段差解消などの住宅改修
● 入浴・排泄のサポートが必要なら訪問入浴サービスやホームヘルパーを活用
● 介護者の休息確保のためにデイサービスやショートステイを利用
4-2. 施設介護という選択肢
要介護度や家族の状況によっては、施設介護も検討する必要が出てきます。
● 特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、グループホームなど種類豊富
● 見学や相談を通してご本人の意向を確認しながら検討
● 早めの情報収集で「いざ」というときに焦らない
5. まとめ:まずは「相談してみる」行動が安心への一歩

初めての介護に直面すると、「どうしよう…」と不安でいっぱいになりますが、ケアマネージャーや地域包括支援センター、その他関連機関は必ず力になってくれます。
● 一人で抱え込まない
家族や周囲、専門職を巻き込みながら進める
● 早めに申請・相談先を確保
要介護認定のために主治医に意見書を書いてもらうなど、手続きには時間がかかることを心得る
● 無理をしない
介護は長期戦になることも多い。自分の健康も大切に
介護は決して「つらいことばかり」ではありません。ご本人や家族同士で支え合いながら、新たなコミュニケーションを生むきっかけにもなります。まずは行動すること。不安を一つずつ解消し、より安心して暮らせるように、一緒に頑張っていきましょう。
【参考】よくある質問(FAQ)
Q1. ケアマネージャーはどうやって探すの?
A. 要介護認定を受けたら市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターで紹介してもらえます。また、居宅介護支援事業所を自分で探すことも可能です。
Q2. 介護保険サービスを利用するとどのくらい費用がかかりますか?
A. 原則1割負担(所得によって2割・3割の場合あり)となります。要介護度や利用するサービスの種類によって変わりますので、詳しくはケアマネージャーに相談しましょう。
Q3. 要介護認定はすぐにもらえますか?
A. 申請してから訪問調査・主治医の意見書作成・審査会などの手続きを経て、正式に要介護度が決定します。1~2ヶ月ほどかかることが一般的なので、早めに準備しましょう。