ショートステイの使い方|老人ホームとの違いを知って上手に利用

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近年、在宅介護の現場では、家族や介護者による身体的・精神的負担が大きくなっています。そんな中で注目されているのが「ショートステイ」です。介護に関わる家族にとっては『レスパイトケア(負担の軽減や心のリフレッシュ)』につながります。

ただ、ショートステイの利用目的や適切な利用日数について、どのように考えればよいか悩んでいませんか?

そこでこの記事では、ショートステイの上手な具体的な使い方や老人ホームとの違いについてまとめていますので、最後までご一読ください。

ショートステイとは

ショートステイは、在宅で介護を受けている高齢者が一時的に介護施設に短期滞在するサービスです。介護保険サービスの一つで、介護を必要とする方の生活支援と、家族など介護者の負担軽減を目的としています。ショートステイで利用者は日常生活の支援、食事、入浴などのサービスを受けられます。

【利用できる人の条件】

ショートステイを利用できるのは、原則として下記の条件を満たす方です。

ただし、上記の条件に当てはまらなくても介護保険を利用しない全額自己負担のショートステイもあります。

ショートステイの種類

ショートステイには次の2種類があります。

一般型ショートステイは、特別養護老人ホームなどの介護施設による介護サービスです。日常生活の支援が中心で、食事、入浴、排せつの介助などを行います。
医療的なケアは限定的で、比較的安定した状態の方に適しています。
通常、ショートステイと呼ぶ際は、この一般型を指すことがほとんどです。

介護老人保健施設や介護療養型医療施設で提供され、一般型に比べて医療的なケアが充実しており、看護や機能訓練、リハビリテーションなども受けられます。
医療ニーズの高い方や、退院直後の方の利用に向いています。

ショートステイと老人ホームとの違い

ショートステイと老人ホームは主に次の3つの違いがあります。

ショートステイは短期間の利用を前提としており、通常1日から30日程度の利用が一般的です。一方、老人ホームは長期的な入居を目的としており、基本的に期限を定めずに住まいとして利用します。

ショートステイでは、タイプによって医療的ケアの程度が異なります。一般型では日常の世話など基本的な介護サービスが中心ですが、医療型では投薬や機能回復訓練(リハビリ)といった充実した医療サービスを受けられます。
また、老人ホームでは、施設の種類によって医療的ケアの程度が異なりますが、常駐の医師や看護師による対応が可能なところが多いです。

ショートステイは一時的な介護サポートや介護者の負担軽減が主な目的です。一方、老人ホームは長期的な生活の場として、入居する本人が継続的な介護や生活支援を受けながら暮らすことを目的としています。

ショートステイのおすすめ利用シーン

ショートステイは次のような場合に利用をおすすめします。

介護者が仕事や入院、旅行などで一時的に介護ができない場合、ショートステイの利用で安心して用事を済ませられます。

介護の負担が溜まっていくと、介護者自身の心身の健康に影響を及ぼす恐れが高くなります。定期的にショートステイを利用することで、介護者がリフレッシュする時間の確保が可能です。

将来的に老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)といった施設入居を検討している場合、ショートステイを利用して施設での生活体験ができます。ショートステイの利用回数を重ねるうちに本人や家族が施設の環境に慣れ、老人ホームへスムーズに移行しやすくなります。

病院から退院した直後は、在宅での介護に不安を感じることがあります。そこで、一時的にショートステイを利用し、自宅での環境を整えながら徐々に在宅介護に移行することができます。

ショートステイを上手に利用するための4つのポイント

ショートステイを上手に利用するためのポイントは次の4つです。

本人の状態や必要なケアの内容に合った施設を選びましょう。一般型と医療型の違いを理解した上で、本人の暮らしやすい環境を考えながら施設選びを進めることが大切です。

実際に施設を見学し、スタッフと直接話をすると、サービスの内容や雰囲気をより詳しく把握できます。施設によっては体験利用も可能なので、積極的に活用しましょう。

ショートステイは最長30日まで連続して利用できますが、初めは1日単位で短期間から始めて少しずつ期間を延ばしていくのがおすすめです。本人がショートステイに慣れているかを確かめながら、無理のない利用期間を見つけていきましょう。

利用者本人の施設や過ごし方に対する希望や好み、身体状態や認知症の程度などを考えて施設を選ぶことが大切です。家族だけでなく、本人の意思を尊重することで、より気持ちよく安心したショートステイ利用につながります。

まとめ

ショートステイは、在宅介護を支える上で積極的に活用したいサービスの一つです。介護者の負担軽減だけでなく、利用者本人にとっても新しい環境での刺激や専門的なケアを受ける機会となります。ただし、ショートステイの利用には介護保険の限度額や自己負担があるため、ケアマネジャーと相談しながら計画的に利用しましょう。

また、ショートステイを上手に活用すると、本人も介護する家族もお互いにQOL(生活の質)を高めることができます。本人の希望や状態、家族の状況に合わせて、柔軟にショートステイを取り入れて、長い目で在宅介護が続けられる利用方法を検討してみてください。

参照:短期入所生活介護(ショートステイ)とは _ 健康長寿ネット
参照:短期入所療養介護(ショートステイ)とは _ 健康長寿ネット
参照:『あなたの街にも 医療ショートステイ が必要です』_ 厚生労働省
参照:短期入所生活介護(ショートステイ) _ 介護サービス一覧 _ かながわ介護・福祉辞典