
「還付金詐欺」や「オレオレ詐欺」といった特殊詐欺の被害が急増しており、特に高齢者が標的となっています。2022年の被害総額は361.4億円に上り、8年ぶりに増加に転じました。
そこでこの記事では、大切な人を詐欺から守るために知っておきたい最新の特殊詐欺の手口と、高齢者を守るための具体的な対策方法を紹介します。
特殊詐欺の現状

特殊詐欺の被害は依然として深刻な状況が続いています。警察庁の統計によると、2022年の特殊詐欺の認知件数は17,520件(前年比3,022件増)、被害総額は361.4億円(前年比79.4億円増)に上りました。特に注目すべきは、被害総額が8年ぶりに増加に転じたことです。
高齢者被害の割合は依然として高く、65歳以上の高齢者の被害認知件数は15,065件で、全体の86.6%を占めています。特に65歳以上の女性の被害が顕著で、11,517件に上ります。
主な手口としては、還付金詐欺(4,679件)、オレオレ詐欺(4,278件)、キャッシュカード詐欺盗(3,051件)、架空料金請求詐欺(2,893件)、預貯金詐欺(2,362件)が上位を占め、全体の約98.5%を占めています。
参照:COLUMN 特殊詐欺による高齢者の被害について _ 消費者庁
高齢者が狙われやすい理由

高齢者が特殊詐欺の標的になりやすい理由には、次のような3つの要因が考えられます:
1.心理的要因
多くの高齢者が「自分は詐欺に遭わない」と思っています。警察庁の調査によれば、オレオレ詐欺の被害者の78.2%が「自分は被害に遭わないと思っていた」と回答しています。この自信が、逆に詐欺犯に付け込まれる隙を作ってしまいます。
2.生活環境の変化
退職や家族との別居により、日中一人で過ごす時間が増えることで、詐欺の電話に出やすくなります。また、周囲に相談する人がいないため、冷静な判断が難しくなることもあります。
3.情報格差
最新の詐欺手口や対策に関する情報が、高齢者に十分に届いていないことも問題です。スマートフォンやインターネットの利用に不慣れな高齢者は、最新の注意喚起情報を得にくい状況にあります。
参照:トピックスII 特殊詐欺の現状と高齢者被害防止のための新たな取組|警察庁
参照:(警視庁に聞く、特殊詐欺の未然防止策) ─ 「私は大丈夫」が一番危ない!巧妙化する特殊詐欺の手口と防止策|知るぽると
主な特殊詐欺の手口とその対策

主な特殊詐欺の手口とその対策は下記の通りです。
1.オレオレ詐欺
手口:親族を装い、急な金銭要求をする。
対策:家族で合言葉を決めておく。すぐに電話を切り、本人に確認する。
2.キャッシュカード詐欺盗
手口:公的機関を装い、キャッシュカードの交換を持ちかける。
対策:カードを他人に渡さない。暗証番号は絶対に教えない。
3.還付金詐欺
手口:行政機関を装い、還付金の手続きを持ちかける。
対策:ATMでの還付金手続きは存在しないことを覚えておく。
4.架空料金請求詐欺
手口:身に覚えのない料金の支払いを要求する。
対策:不審な請求には応じず、無視する。必要に応じて警察や消費生活センターに相談する。
高齢者を守るための具体的な対策

高齢者がターゲットにされやすい特殊詐欺ですが、実際には被害者の年齢性別は関係がありません。そこで、下記のような具体的な対策をしておくと、特殊詐欺から高齢者はもちろん家族を守ることができます。
【対策】固定電話の見直し
・防犯機能付き電話機や特殊詐欺対策装置を設置する
・常時留守番電話に設定し、知らない番号からの着信には出ない ・ナンバーディスプレイの活用する(70歳以上の方は無料で利用可能な場合あり)
参照:電話でお金の話は詐欺!親子のコミュニケーションで注意喚起を! _ 政府広報オンライン
参照:特殊詐欺対策をNTT東日本がお手伝いします!【NTT東日本公式】 _ NTT東日本 _ フレッツ光
参照:【NTT西日本】NTT西日本が特殊詐欺対策をサポートします – 通信・ICTサービス・ソリューション
【対策】家族間の連携を
・定期的な連絡を取り合う習慣をつける
・金銭に関する相談をしやすい関係性を築く
・家族間で合言葉を決めておく
このほか、最近は特殊詐欺対策として、自治会による定期的な訪問や声掛けで地域での見守りを強めたり、金融機関やコンビニなどで高額の引き出しや振込みの際に、銀行員による声かけをしたりなど、地域コミュニティ全体で防犯対策に取り組むケースが増えています。
参照:兵庫県警察-特殊詐欺被害防止(金融機関・コンビニでの声かけ)
被害にあいそうになったときの対応

特殊詐欺の被害にあいそうになった際は、自分一人で判断せず相談窓口や家族・友人知人に相談する意識が大切です。
下記の相談窓口や緊急時の連絡先を家族で改めて確認しておきましょう。
◎相談窓口
・警察相談専用電話「#9110」
・消費者ホットライン「188」
◎緊急時の連絡先
・最寄りの警察署
・家族や信頼できる知人の連絡先を常に手元に置いておく
参照:各都道府県警察の特殊詐欺対策ページ _ 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ
まとめ

特殊詐欺は手口が巧妙化しており、誰でも被害に遭う可能性があります。「自分は大丈夫」という過信は禁物です。常に警戒心を持ち、少しでも不審に感じたら、一人で抱え込まず、すぐに家族や警察に相談することが重要です。家族や地域ぐるみで高齢者を見守り、安心して暮らせる社会を作っていきましょう。