介護用ロボットの現状と未来|テクノロジーが変える高齢者ケア

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介護に関する情報が日々アップデートする中、特に注目を集めているのが介護用ロボットです。高齢者の介護に関わっている方の中で、テクノロジーの進化によって介護にどのような変化が生まれるのか気になっていませんか。

そこでこの記事では、介護用ロボットの最新事例や将来の展望にスポットを当て、未来に向けた介護の新たな可能性を紹介します。テクノロジーがもたらす高齢者ケアの未来をイメージしていきましょう。

介護用ロボットとは

介護用ロボットは、高齢者や障害者など身体機能に制約がある人の日常生活をサポートするために開発されたロボット技術です。

主に介護用ロボットは下記4つに分類されます。

高齢者や障害者の「移動」をサポートします。

介護職が行う移乗支援では、装着型パワーアシストが代表例です。
ケアするスタッフがベッドやイスの移乗支援の際に装着することで、軽い力で高齢者の移乗が行えます。

また、移動支援では、高齢者自身が使用する電動車椅子や歩行補助ロボットが代表的です。 歩行が難しい方が自由に移動できる役割を担ったり、安全かつスムーズな歩行を支援したりします。

介護職のサポートがなくても排泄ができる自動排泄処理装置が知られています。

また、ロボット技術による便器の位置調節が可能なトイレも登場しています。

機械浴と呼ばれ、浴槽に出入りする動作を機械が自動で行うロボットがあります。

入浴支援は身体的負担が大きい介護業務です。

入浴支援ロボットの登場で、スタッフの身体的な負担はもちろん、転倒リスクが高い浴室とで気を配らなければならない精神的負担も軽減できます。

主に認知症の方の徘徊や転倒予防のためにロボット技術を搭載した機器が導入されています。

たとえば、夜間にベッドから離れたことを検知するセンサーマットや、ネットワークカメラにより緊急時に自動検知し管理センターや家族の端末に通知するシステムなどがあります。

また、言葉やボディーランゲージを使ってコミュニケーションをするAI(人工知能)搭載のコミュニケーションロボットも介護現場での導入が進んでいます。

世間話をしたり、その日の予定やニュースを知らせてくれたりなど、介護職や家族に代わって高齢者の話し相手になり、孤独感を和らげます。

参照:「介護用ロボット」|厚生労働省

介護用ロボットの課題

介護ケアですぐれた効果を発揮する介護用ロボットですが、下記のような課題があります。

介護用ロボットは、導入やメンテナンスにまとまった費用がかかります。

種類にもよりますが介護用ロボットは数十万円から100万円単位の価格が相場です。

そのため、介護施設はもちろんですが、家庭で購入するのはまだまだハードルが高いと言えるでしょう。

現在の技術ではすべての介護ニーズに十分に対応することが難しい状況です。

特に高度な介護業務には人のサポートが不可欠です。例えば、複雑な医療判断や感情的なサポートなど、ロボットが完全に代替できない領域が依然として存在します。

本人が使用する介護ロボットの場合、高齢者や認知症の方にとって機器操作が複雑で理解しにくい場合があり、慣れるまで時間がかかったり、うまく使いこなせない場合があります。

例えば、加齢によって指先の感覚が鈍くなったり、声質・声量が変化したりすると、タッチパネルや音声認識のシステムが使いこなせず、せっかくの介護ロボットが意味をなさない可能性も高いです。

参照:「介護ロボットの現状と課題」|日本老年医学会

介護用ロボットの未来

介護用ロボットは、これからの技術革新を通して介護ニーズ全体に対応するレベルに変化すると予想されます。AI(人工知能)やIoT(住宅や車、家電などがインターネットで接続され情報交換や操作ができる仕組み)の進展により、高齢者の動きや意思を判断するセンサーや判断能力が向上するからです。

また、直感的で使いやすいデザインや、声やジェスチャーなどを組み合わせた自然なコミュニケーションができるロボットの開発も急速に進められています。

介護人材不足が心配される中、介護用ロボットの普及によって介護労働力の負担が軽減できるでしょう。結果、質の高い介護サービスの維持が可能となり、高齢者はより豊かで自立した日常生活が実現します。

参照:「介護の未来予想図 30 年後の介護は どうなっているか?」公益社団法人 全国老人保健施設協会

まとめ

介護用ロボットはすでに高齢者の生活をサポートしており、種類ごとに具体的な導入例があります。

ロボット開発は発展の余地がある分野だけにまだ課題も残されていますが、AIやIoTの進化で未来には介護労働力の軽減と高齢者の生活の質向上が実現されるでしょう。

テクノロジーとともに進化する介護用ロボットが介護現場で普及し、ますます本人やその家族、介護職をサポートする重要な役割を果たすことが期待されます。

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