
新型コロナウイルス感染症の分類が2類から5類へと移行したことで、日本全国の介護施設では面会ルールが大きく変わりました。感染症としての扱いが軽減された結果、原則として一般的な感染症と同様の対応が求められるようになります。
ただ、高齢者の安全と健康を最優先に考える介護施設では、独自の判断で面会を含め新ルー ルで運用するケースも少なくありません。
そこでこの記事では、全国の介護施設における面会ルールの変更点と影響について紹介します。特にマスク着用に関する現在の状況とアフターコロナを見据えた感染対策について、家族との面会を視点に詳しく解説していきます。
コロナ2類から5類による変化

2023年(令和5年)5月8日、新型コロナウイルス感染症の分類が、従来の2類感染症から5類感染症へと変更されました。5類への見直しが決定した背景としては、病原体の危険性、感染力、症状の重篤さ、予防・治療方法の確立度など、多角的な観点からの再評価に基づく結果です。
政府や厚生労働省、医療業界などが検討した結果、新型コロナウイルス感染拡大の初期に比べて治療薬の普及やワクチン接種率の向上、そして国民の感染症に対する理解の深まりを踏まえ、感染症としての扱いを軽減しました。
厚生労働省によると、変更ポイントは下記の4つです。
1. 日常生活における基本的な感染対策は個人の判断に委ねられる
2. 新型コロナウイルスの感染者や濃厚感染者に対する外出自粛の要請も終了し、社会的な制約が大幅に軽減される
3. 発熱外来などに限定されていた受診医療機関が、幅広い医療機関に拡大される
4. 医療費等は健康保険適用による1割から3割負担となるが、一定期間公費による支援が継続される
新型コロナウイルスの感染法上の扱いが2類から5類に変更されたことで、国民一人ひとりにコロナと共存する社会づくりを求める時期を迎えたと言えます。
参照:新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について|厚生労働省
5類以降の介護施設の面会ルール

新型コロナウイルスの感染症分類が5類に移行したことに伴い、多くの介護施設では面会制限が大幅に緩和されました。
そのため、長期にわたってテレビ電話などを除き直接対面での面会が制限されていた家族と利用者が再び顔を合わせる機会が増え、感染リスクを最小限に保ちながらも心の支えとなる再会ができる状況になっています。
ただ、面会制限の緩和後も施設によっては予約制を取り入れるなどの新しい面会のルールを 設け、利用者と家族の安全を確保しています。

介護施設で面会ルールに則った運用をしている実施例として、面会スペースを整備し利用者と家族が安全に会話できる環境を確保しているところがあります。また、定期的な消毒や、訪問者の体温測定、健康状態チェックリストの提出など、感染防止対策に取り組むケースも多いです。特に、面会時のマスク着用や手洗い、アルコール消毒の推奨、面会時間の短縮や面会可能時間帯の設定など、基本的な感染症対策の維持に努めています。
家族との面会は、利用者の精神的な安定や幸福感に直接影響を及ぼすとされています。家族との交流によって利用者の社会的孤立を防ぎ、認知症の発症予防や症状進行の遅延にも効果的とする考え方もあるほどです。面会制限の緩和により、面会が持つポジティブな効果のおかげで、利用者の生活の質がより向上すると期待されます。
介護施設でのマスク着用問題

新型コロナウイルスの5類への移行後も、多くの介護施設で引き続きマスクの着用が推奨されています。特に、閉鎖空間での介護ケアを行う際や談話室や食堂など利用者が複数集まる共有スペースでは、飛沫感染のリスクを減らすためにマスクの着用が求められます。
また、感染の疑いがある場合や感染が施設内に広がった際の緊急対策としても、マスクの着用は重要な予防策とされているのが現状です。
特に、コロナ禍が落ち着きを見せた時期と入れ替わるように、インフルエンザをはじめとする他の感染症の流行が心配されています。そのため、さまざまな感染症に対して総合的な視点による防御策の見直しが必要となっています。
とりわけマスクの着用は、風邪やインフルエンザなどの他の感染症に対しても有効な防護手段であり、冬季の流行期には特に重要です。したがって、介護施設内では引き続きワクチン接種のお願いや手洗い、手指消毒の徹底が感染予防の基本として継続されています。
まとめ

新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行した今、介護施設の面会ルールも大きく変わりました。コロナ禍の時期のような厳しい制約が緩和され家族との面会が再び可能になったことは、利用者にとっても家族にとっても歓迎すべき変化です。ただ、面会に際しては事前に施設のルールを確認し、マスクの着用や手指の消毒など基本的な感染防止対策を徹底しましょう。
利用者が家族との時間を心豊かに過ごせるよう、介護施設側も感染リスクを管理しながらも積極的に面会を受け入れる姿勢が求められています。
このように、介護施設における面会は利用者の精神的な安定を促し、家族の絆を深める上での大切な機会です。新たな面会ルールを把握し、新しい日常の中で家族との大切な時間を確保しましょう。