
「老人ホームの入居者は色々な人がいるから心配」
「もし他の入居者とトラブルになったらどうしよう」
老人ホームは、高齢者が安心して暮らすための場所です。
しかし、利用者一人ひとり、さまざまな性格や生活習慣を持つ人たちが共に生活する中で、トラブルが生じることも少なくありません。そんな時、どのように対応すればよいのでしょうか。
そこでこの記事では、老人ホームでの入居者同士のトラブルについて、その対処法を紹介します。
目次
トラブルの種類と特徴

老人ホームでの人間関係のトラブルは主に次の2つがあります。
● 入居者同士のトラブル
● スタッフとのトラブル
このうち、2番目の「スタッフとのトラブル」という点は、介護現場で高齢者への虐待につながる可能性があるため注意しておきたいところです。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
1.入居者同士のトラブル

他の入居者とのトラブルは、老人ホームの入居者が出会う可能性の高い種類です。具体的には次のようなものがあります。
・口げんか
「ちょっとした言い方が気に入らなかった」「一言挨拶もしてくれない」など、些細なコミュニケーションのすれ違いで直接相手に喧嘩を売ったり、陰口を叩いたりすることがあります。
精神的に不安定な状態で相手が耳にすると、カッとなってけんかに発展することも少なくありません。
・生活音
「隣室の入居者のテレビがうるさい」「廊下をもっと静かに歩いてほしい」など、集団生活であるため他人の生活音が気になり、トラブルに発展することがあります。

・認知症による症状
認知症の症状が見られる入居者の中には、「Aさんにお金を取られた」といった物盗られ妄想がひどくなり、他の入居者やスタッフとトラブルを起こす場合があります。
また、暴言や暴力、夜間徘徊など、他の入居者の平穏な生活に影響を与えることも少なくありません。
・人間関係の行き違い
仲の良かった友人同士でけんかになる、入居者で恋愛カップルになったものの、付き合ったり別れたりを繰り返すなど、時に周りを巻き込む騒動に発展することがあります。

入居者同士のトラブルが発生した場合、たとえ大げさに思えるかもしれないと感じたとしても、スタッフに相談することがポイントです。暴力沙汰に発展するようなレベルの問題が起きてからでは遅いので、少しでも異変を感じたらすぐにスタッフに報告しましょう。スタッフは、トラブルがあった入居者の間に距離を設けるなどの配慮をしてくれます。
2.スタッフとのトラブル

施設の介護スタッフとのトラブルが発生する場合もあります。
介護スタッフの対応に違和感があることから発展するケースが大半です。例えば、食事の提供が雑であったり、移動介助の支援が適切でなかったりなど、スタッフが提供する介護業務の質が原因であるケースが多く見られます。
こうしたスタッフによる問題が続き、入居者として暮らす上で不快な思いをする場合は、まず老人ホームに苦情を入れることが必要です。それでも改善されないときは、施設の管理責任者に直接相談しましょう。
施設との関係性を心配して苦情を申し出るのをためらう場合は、入居している老人ホームがある市区町村の高齢福祉に関する苦情相談窓口や介護保険課、高齢福祉課、国民健康保険連合会などに相談することも可能です。
入居者同士のトラブルに巻き込まれないための予防法

老人ホームでの入居者同士のトラブルを防ぐためには、以下のような予防法が考えられます。
● 他の入居者を尊重する
● 意見を丁寧に伝える
● スタッフに相談する
● 良好な人間関係を築く
● 感情をコントロールする
特に4番目の「良好な人間関係を築く」という点は、未然にトラブルを防ぎ、安心して老人ホームの生活を送るために大切なポイントです。
では、順に紹介していきます。

1.他人を尊重する
他の入居者のプライバシーと生活スタイルを尊重することは非常に大切です。まず、他の人たちが自分をどのように扱ってほしいのかをイメージしながら、他の人と接するようにしましょう。相手に敬意をもって他の入居者と関わることで、お互いに信頼関係を築き、トラブルを防ぐための土台となります。
2.意見を丁寧に伝える
もし何か問題や気になることがあったときには、できるだけ丁寧な言葉や柔らかな態度で伝えることが大切です。他の入居者に不満を漏らしたり、陰口を言ったりすると、余計に人間関係のトラブルに発展する可能性が高くなります。
3.スタッフに相談する

何かトラブルが起こったときには、すぐに老人ホームのスタッフに報告し、相談することが重要です。スタッフは介護のプロなので、施設内の入居者同士の問題解決に必要な経験と知識を持っています。自分一人で悩まずに、スタッフに助けを求めることをおすすめします。
4.良好な人間関係を築く
入居者同士で信頼関係を育てることは、トラブルを防ぐ上で有効な方法のひとつです。共通の趣味や話題を持つ人と積極的に交流を深め、お互いを理解し合い、尊重し合う関係を築くための良いきっかけ作りをしましょう。
5.感情をコントロールする

自分の感情や行動を冷静に見つめて、コントロールすることも大切です。感情が高ぶったときでも、一度落ち着いて自分自身を振り返り、他人に対する不満を角が立たないかたちで表現することを心掛けましょう。
ここで挙げた5つのポイントを意識し、行動することで、老人ホームでの生活がより安心で快適になり、トラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ:入居者と良好な人間関係を築いて楽しい生活を

老人ホームでの入居者同士のトラブルを防ぐために、入居者自身が行うべきことは、他の入居者を尊重し、適切にコミュニケーションを取ることです。また、もし問題が生じた際はスタッフに相談することも意識しましょう。そして、良好な人間関係を築くためには積極的に他の入居者と交流し、自身の感情と行動を上手にコントロールすることも大切です。
この記事で紹介した入居者同士のトラブルを予防するポイントをひとつずつ取り入れてみてください。