
加齢とともに睡眠に変化が現れることは、ある程度年を重ねると誰でも自覚してくるのではないでしょうか。
「高齢者は朝早起き」という言葉をよく耳にしますが、それ以外にも年齢と睡眠の変化にはある程度の因果関係があることはご存じですか?
一般的には高齢者は早起きで健康的な生活を送っているというようなイメージがあります。でも実際は、加齢が「睡眠不足」の原因にもなっているのです。
睡眠不足は総合的に健康に対して悪影響なので出来れば避けたいですし、しっかりとした睡眠を取ることはとても大切です。
ではなぜ高齢者が睡眠不足になってしまうのでしょうか?
そしてもし睡眠不足になってしまった時には、どのように対処すれば良いのでしょうか?
目次
高齢者の睡眠不足は身体能力の低下による

一般的に「不眠」と呼ばれるものは、睡眠時間が短くなってしまうということ以外に、睡眠の「質」も非常に大きな要素となります。
時間的に十分睡眠を取っているはずなのに、この睡眠の質が低下してしまうと不眠状態になってしまうのです。
年齢を重ねると身体能力が低下してしまうということは当たり前として考えられていると思いますが、この身体能力の低下が睡眠時間を短くしてしまったり、睡眠の質を落としてしまったりするのです。
さらに加齢によって体内時計が狂い始めることや、血圧やホルモンの分泌が変化してしまうことも不眠を引き起こす原因となります。
高齢者の不眠の特徴とは

では高齢者が不眠になっている場合、どのような症状や特徴が見られるのでしょうか。
不眠というのは明らかな症状が出にくいために、つい気がつかずそのまま過ごしてしまいがちです。しかし不眠の状態が長く続いてしまうと、身体的なトラブルにつながったり、精神的にも不調になって、日常生活を正常に過ごせなくなることもあります。
加齢による不眠の要因として代表的なものは、「尿意」によって目が覚めてしまうというものです。さらに睡眠中の「物音」に対して敏感になってしまうことも、不眠の要因となります。
このように身体的な問題や外部の刺激に対する反応が、若い頃と比較してより熟睡を妨げることによって起こる不眠が、高齢者の不眠の特徴と言えるでしょう。
不眠の種類について

不眠とひと言で言っても実は不眠にはいくつかの種類があります。
不眠は大別すると4つのタイプがあり
● 入眠障害
● 熟眠障害
● 中途覚醒
● 早朝覚醒
に分けられます。
● 入眠障害
入眠障害はベッドに入ってから眠りにつくまで、時間がかかってしまうという不眠状態です。
目安としては寝付くまで30分〜1時間以上かかってしまうような状態が、長期間(2週間〜1ヶ月以上)続いてしまうような場合、入眠障害となります。
これは多くの場合、寝る時に不安や悩みなどを考えすぎて、それが原因となって眠れないというものです。
● 熟眠障害
熟眠障害というのは、睡眠時間は十分なはずなのに、眠っても疲れや眠気がとれないというものです。
「ぐっすり眠れていない」「すっきり目覚めない」など悩んでいる方も多いのではないでしょうか。これは先ほど紹介した睡眠の質が悪い状態で、「時間」ではなく「質」が悪い不眠ということになります。
熟眠障害は自覚症状が出にくくはっきりしないため、気がつきにくい不眠と言えるでしょう。
● 中途覚醒
中途覚醒は眠っている間に何度も目が覚めてしまい、一度目が冷めてしまうとなかなか眠れないという不眠の状態です。
これは尿意で目が覚めてしまうことを含め、身体機能の低下によって起こることが多くなっています。
● 早朝覚醒
早朝覚醒は自分が起きるつもりの時間よりもずっと早く目が覚めてしまうという不眠です。
例えば朝7時に起きようとしているのに、それより2時間以上早く目が覚めてしまう場合、この早朝覚醒と言うことができます。
高齢者の場合は体内時計が狂うことで、早く目が覚めてしまうのです。
不眠が引き起こす問題点とは

不眠自体はそれによって何かに悪影響が直接出るというものではありません。
しかし不眠によって体が休まらないと、あちこちでトラブルが起きるリスクが高まってしまいます。
例えば血圧の上昇や血糖値のコントロール不全、免疫力が低下したり、ホルモンバランスが崩れたりすることもあります。
さらには身体面ではなく精神面での不調を引き起こし、イライラしたりうつ病などのリスクも高まってしまいます。
特に不眠は糖尿病やうつ病のリスクを、正常に眠れている人と比較して2〜3倍にまで引き上げてしまうという調査結果もあるため、決して見過ごすことができるものではないのです。
不眠を疑ったらするべきこと

もし不眠を疑うのであれば、まずは生活習慣を正すことが大切です。
年齢に従って運動量が減ってしまっていれば、その分眠りにくくなってしまいます。そのためもし不眠を感じ始めたら、日中の運動量を増やしてみましょう。
特に朝の光を浴びることは、睡眠に影響しますのでできるだけ朝から外に出る習慣を作ると良いかもしれません。

その一方で注意しなければならないのが、不眠の時に「眠らなければいけない!」と決めつけて、無理に眠ろうとしてはいけないと言うことです。「眠らなければ」と考えて、焦れば焦るほど頭は冴えてしまいます。
「眠れる時に眠ればいい」と、ある意味居直ることが不眠の時は大切な思考方法なのです。
不眠を解消して健康的な毎日を

眠りたいのに眠れないというのは辛いものです。
そして、不眠というものは自覚しにくい症状で、それでいて気がつかないうちに身体や精神の健康をむしばんでしまいます。
もし、今回紹介したような不眠の4タイプに心当たりがあるのなら、まずは日中の運動や、無理に眠ろうとするプレッシャーをかけないなどの対策を試してみてください。
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