
フリマアプリの「メルカリ」――タモリさんや草彅剛さんが登場するちょっとゆるめのテレビCMで興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
フリマアプリとは、青空の下のフリーマーケットのような個人売買がスマートフォンでできるサービスです。「メルカリ」のほかにも「ラクマ」「ヤフオク!」「PayPayフリマ」などが知られていますが、今回は「メルカリ」を取り上げます。
メルカリを使ってみたいけれど何から始めたらいいの? 詳しい人に気軽に質問できる場所ってあるの? と疑問に思っている方に、耳寄りの情報をお届けします。
60代以上のメルカリ利用者が増えているのは本当?

フリマアプリの利用は楽しそうだし、お得感もあるようだけれど、手順がいろいろあって面倒くさそう。それに、個人対個人で売買するのって大丈夫なのかな……。そんな風に思っていませんか?
メルカリといえば、20代、30代の若い世代が使っているイメージが強いかもしれませんが、実は最近、50代や60代以上が増えています。2021年9月のメルカリの調査では、月間利用者は約1950万人。中でも60代以上の利用者が前年比1.4倍に増加したことが注目されています。
「隠れ資産」という言葉があります。自宅内の不用品の価値総額を算出したもので、全国でなんと37兆177万円にも上ります。一人当たりの隠れ資産をみると、60代女性では約50万円。これは10代の3.5倍に当たります。バブル期を体験したシニア女性は買い物が大好きで、とにかくモノ持ちなのですね。

コロナ禍で巣ごもりする時間が多くなり、長年退蔵してきた持ち物を見直す機会が増えました。「生前整理」や「終活」のキーワードでメルカリに出品された商品は、過去1年間で2.5倍と急増しているというデータもあります。
不用品を処分する「生前整理」といっても、もったいない精神あふれるシニアにとって、まだ使えるものを捨てる行為は受け入れがたいもの。思い出のある品々も少なくないはずです。自分にとって不要であっても、他の誰かにとっては価値あるモノとして蘇るかもしれません。
ただ、中古品買い取り店に持ち込んだ場合は店側の言い値ですし、誰が購入するかわかりません。フリマアプリ経由であれば、値付けも売り先も自分でコントロールできる点が大きな魅力です。
メルカリの国内流通総額は2021年に7845億円で、前期比25%増。初の黒字になったそうで、高額品を放出するシニア層が市場をけん引しているとも言われています。シニア層はモノを丁寧に使っていて、売り手としての対応もよいと評価が高いのです。
無料で学べる「みんなのメルカリ教室」

メルカリはフリマアプリですから、アプリの操作方法を習得する必要があります。それには、メルカリが各地で開いている「みんなのメルカリ教室」に参加するのが早道。
メルカリ認定講師と一緒にアプリを操作しながら、実際に出品にチャレンジします。操作に加えて、売れた後の梱包や発送方法など基本的な取引の流れや売上金の受け渡しまで、原則90分で学びます。参加費は無料。
詳しくは、公式サイト(メルカリ教室 | メルカリびより【公式サイト】)で場所と開催日時をチェックしましょう。
なお、YouTubeあるいはZoomを使ったオンライン教室「メルカリで売ってみよう」は毎日開催されています。いずれも要予約。事前準備として、メルカリアプリのインストールと会員登録、また、出品したい私物を1点以上手元に用意することが求められています。
ドコモのスマホ教室や修理ショップ「ミスターミニット」でも
「みんなのメルカリ教室」でなくても、気軽に使い方を学べる場所があります。ドコモのスマホ教室や修理ショップ「ミスターミニット」がその例です。
●ドコモのスマホ教室

コロナ禍以前、シニアに支持されている「クラブツーリズム」が、「いらないものをメルカリで売って旅行へ行こう!」と呼びかけて、教室を開催していました。定員を上回る応募があって急遽教室を増設したり、定期開催に踏み切ったり、大人気でした。
現在は、ドコモ販売店のスマホ教室がその役割を担っています。教室の9割を占めるのが、60-70代。スマホを持つ楽しさを提供して、販促や契約維持につなげていくのが狙いです。
メルカリ教室は、スマホ教室の延長線上にある内容なので、専門スタッフが丁寧にサポートしながら使い方を教えます。
1回目はアプリのダウンロードから登録方法、出品されている商品の閲覧、2回目は商品の購入方法、3回目は商品の出品の仕方を学びます。同世代の仲間が一緒なので、雰囲気はとてもなごやか。販売店の中には、メルカリに出品する商品の無償梱包コーナー「つつメルすぽっと」を提供しているところもあります。
●修理ショップ「ミスターミニット」

駅の近くや繁華街にあって、通勤帰りや買い物の途中でも立ち寄りやすい場所にある修理ショップの「ミスターミニット」。メルカリとコラボした「メルカリ リペア」は、靴やバッグの修理や合鍵づくり、時計電池の交換といった従来のサービスに加えて、メルカリへの出品サポートをしてくれます。
店のスタッフが簡易的な形で「メルカリ教室」を開催。梱包や発送などに関する相談ができたり、出品前の修理にも割引料金で対応してくれたりします。出品アイテムをきれいに撮影できるスペースも用意されています。「忙しくて梱包して発送する時間がない」人には、梱包の代行をしてくれるのもうれしいです。
ただし、まだ実証実験として展開しているサービスなので、対応できる店舗は限定されています。必ず店舗ページ(メルカリ リペア/料金 | MISTER MINIT)で実施状況を確認するようにしましょう。
使い方がわからなくなっても大丈夫

教室で講師と一緒に操作している時にはうまくいったのに、いざ一人でやってみると、わからなくなってしまった……。よくあることですよね。
でも、大丈夫。メルカリの使い方を解説する公式YouTubeチャンネル「メルカリガイド」(メルカリの「どうしよう?」は動画で解決! 公式解説動画「メルカリガイド」のご紹介 | メルカリびより【公式サイト】)がとてもわかりやすいです。
「商品撮影のキホン」「おもちゃを梱包する」など、メルカリの「ここが知りたい!」というツボをやさしく説明しています。動画の本数は70本以上。1本当たりの時間が短く、アプリを操作しながら視聴することを考えてスピードゆったりめに作ってあります。
まとめ

メルカリの「60代以上のフリマアプリ利用実態に関する意識調査」によれば、約3割の人が、「フリマアプリの利用で社会とのつながりを感じられるようになった」と、前向きに答えています。
この調査報告レポートには、「日本中の購入者・出品者など、未知の人たちとのコミュニケーションを取れることに喜びを感じている」(72歳女性)、「出品した商品のお得意様ができたり、同じ趣味の人とつながったり、本当に楽しい」(62歳女性)など、シニア世代の声が多数紹介されています。
シニアにとってのメルカリは、社会とのつながりをもたらすツールという側面もあるようです。新しい交流や楽しみがさらに享受できるように、ベテランの愛好者向けイベントなども期待したいところです。