
高齢化社会に伴って、老人ホームの需要は急速に伸びています。
そして一番気がかりなのが、老後の年金で老人ホームに入所できるのか?という点です。
この記事では、年金だけで老人ホームに入れるのかを、詳しく説明していきます。
月々の年金受給額平均

年金受給額は国民年金か厚生年金かで大きな差があります。また、どのくらいの期間、年金を納めていたかでも異なります。そして年金受給額は、少しずつではありますが減少傾向です。
令和2年度の平均受給額を見てみましょう。
国民年金:5万6252円
厚生年金:14万4366円
国民年金と厚生年金では、平均して8万円以上の差があることが分かります。年金は2か月に一度振り込まれるので、月額は口座に振り込まれた額を2で割って計算しましょう。
老後にかかると言われている費用

現在は医療の発展や生活の質の向上により、日本人の平均寿命は80歳を超えています。
総務省によると、老後の生活費は現役時代の約7割ほどと言われています。
例えば、現役時代に月の生活費が25万円の人は、老後は月に17.5万円必要と計算できます。単純計算をしても、年金だけで生活費をまかなうのは、かなり難しいことが分かります。
多くの高齢者は、年金受給額にプラスして、貯金を切り崩して生活しているのが現状です。
老人ホームの種類

次に、老人ホームにはどのようなものがあるのかみていきましょう。ひとくちに老人ホームと言っても、公共機関が運用するものから民間のものまで様々です。公的機関が運営する施設は、費用が抑えられる代わりに、入居待ちが長いです。条件と予算にぴったりマッチするホーム探しがとても重要になります。
公的介護施設
● 特別養護老人ホーム:初期費用0、月7〜15万円ほど
原則として要介護度3以上が入居条件です。月々の負担は抑えられます。また入居一時金がかからない点もメリットです。競争率が高く、入居までに長い期間待つ必要があります。
● 介護老人保健施設(老健):初期費用0、月9〜20万円ほど
長期入院をしていた方が、退院して自宅に戻るまでの間に利用されることが多いです。リハビリをして自宅に戻ることが目的であり、3〜6か月の期限付きです。
● 介護療養型医療施設:初期費用0、月9〜17万円ほど
介護度が高く、医療行為を必要とする方向けです。2012年度以降、新設されていないため数が少ないです。定員の9割以上埋まっている場所がほとんどで、入所まで数ヶ月待つ必要があります。
民間介護施設
● 介護付き有料老人ホーム:入居金0〜数千万円、月15万円〜
24時間介護スタッフが在中し、身の回りのお手伝いや排泄の介助など、介護サービスを受けられます。入居金が必要なホームもあれば、入居金はかからず、月額費用のみのホームもあります。月額100万円に達するホームもあります。
● 住宅型老人ホーム:初期費用0〜数千万円、月12〜60万円ほど
施設スタッフによる食事・掃除などの生活サービスを受けられます。介護サービスは含まれないため、介護が必要な場合は、外部介護サービスを利用することになります。必要な介護サービスだけを利用するので、介護度の低い方は費用を抑えられますし、自立している方の入居も可能です。
● グループホーム:初期費用0〜30万円、月額15〜20万円ほど
認知症の方が1ユニット最大9名で共同生活をします。認知症と診断されていることが、入所の条件となります。
年金だけで老人ホームに入居するのは難しい

公的介護施設は比較的費用が抑えらますが、費用の安い施設は競争率が非常に高く、入居がかなり難しいのが現状です。
そして、年金の限られた予算内では、受けたいサービスなどを選択する自由度が下がります。
また、国民年金受給者の場合は、大幅に年金受給額をオーバーしてしまいます。
年金だけで老人ホームに入居できない時に利用できる制度

年金だけで老人ホームに入所するのは、不可能ではありませんが、現実的に難しいことが分かりました。
では、老人ホームに入る代わりに、どのような方法をとれば費用を抑えられるのでしょうか。
● 在宅介護サービス
自宅で過ごしながら、訪問介護を導入する方法です。費用負担は利用額の一割負担となります(一定以上の所得があれば2〜3割負担)。
入浴を手伝ってもらったり、食事の準備をしてもらえたりと、できるだけ自宅で過ごせるような介護が受けられます。
また、医療行為が必要な場合は、訪問看護を利用できます。訪問看護は看護師が自宅を訪ね、インスリン注射などの医療行為を行います。
● ケアハウス
ケアハウスとは、低所得者でも入居できる、国や自治体の補助金で運用されている施設です。
軽費老人ホームとも呼ばれ、民間の有料老人ホームに入所するよりも費用が抑えられます。
一般型と介護型に分かれていて、一般型は一人暮らしに不安のある高齢者が入居でき、生活支援を受けられます。介護型は生活支援の他に介護サービスを受けられます。
入居一時金はかかる場合が多いですが、月額料金は6〜15万円ほどに抑えられます。
● 生活保護を申請
年金だけでは生活できない場合は、セーフティーネットとしての生活保護の申請も考慮してみましょう。生活保護を受ければ、必要最低限の生活は保障され、安心が手に入ります。
まとめ
いかがでしたか?年金だけで入れる老人ホームは競争率が高く、入居待ちが続いている状況です。
公的な福祉サービスや社会保障制度をうまく利用して、安心のセカンドライフを送れるよう、情報収集と事前準備をしておきましょう。