老人ホームは高齢者であれば誰でも入居できるというわけではありません。ひとくくりにされがちな老人ホームですが、いくつかの種類に分かれていて、それぞれ入居に必要な条件が異なります。ここでは、老人ホームへの入居を考えるとき、必ず知っておきたい6つの入居条件を考えます。
老人ホームの6つの条件
希望している老人ホームに入居できるかは、次の6つの条件をクリアする必要があります。
①入居するときの年齢
老人ホームの入居は、原則入居時の年齢が65歳以上でなければなりません。ただし、施設の形態や運営方針で60歳以上というところもあります。
・65歳以上
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、グループホーム
・60歳以上または65歳以上
介護付き有料老人ホーム 、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅
・60歳以上
軽費老人ホーム・ケアハウス
なぜ「65歳以上」の施設が多いかというと、介護保険法が介護サービスの提供開始の年齢に設定しているからです。そのため、多くの老人ホームでは年齢条件を65歳以上に設定しています。
ただし、65歳未満でも介護保険の対象になる特例疾病(ガン末期、認知症、脳血管疾患など16種類)の方は、40歳以上から入居可能です。対象施設は、介護付有料老人ホームや特別養護老人ホームをはじめ、サービス付き高齢者向け住宅、介護老人保健施設、介護医療院となっています。施設形態によって要介護度の区分が設定されている場合があります。
②要介護度の区分
入居者がどの程度介護が必要なのかも入居条件のひとつです。介護保険制度の要介護認定を使って判断されます。要介護度認定は、自立、要支援1〜2、要介護1〜5の8区分に分かれています。自立は日常生活にほぼ支障が無い状態で、要支援は要介護予防が必要な段階、要介護は数字が大きくなるにつれて介護を必要とする状態が高くなっていきます。
施設によって入居条件の要介護度は異なります。いくら入居を希望しても、施設の設定する要介護度より高かったり、逆に低かったりすると受け入れてもらえません。介護付有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム。サービス付き高齢者向け住宅のように自立から要支援、要介護まですべての区分で受け入れをしているケースが少なくない施設もあれば、反対に特別養護老人ホームのように要介護3以上の方しか入居できない施設もあります。
③医療的ケアの有無
近年、老人ホームでは医療的ケアのニーズが高まっています。医療的ケアとは、たんの吸引や経管栄養、在宅酸素やインスリン注射など、医師または看護師しかできない医療行為のことです。
老人ホームは介護サービスを中心に提供しているため、医療的ケアに対応できる看護師を配置している施設も多くはありません。したがって、介護医療院や介護老人保健施設、介護付有料老人ホームのように看護師や医師の配置基準が定められている施設を選ぶ必要があります。
なお、規制緩和によって、研修を受けた介護福祉士がたんの吸引や経管栄養の管理をできるようになりました。入居を希望する施設ではどういった医療行為が受けられるのか、24時間体制かどうか確認してください。
④認知症の受け入れ体制
認知症の症状が進行していても受け入れをしている施設には、介護付有料老人ホームや特別養護老人ホームなどがあります。一方で、自立や要介護度の低い高齢者向けの施設では、認知症の症状があったり、症状の進行度合いによって入居を断られるケースが少なくありません。とくに徘徊や暴力行為、不潔行為など、より手厚い介護が必要な症状があると、入居を認めラテもらえない場合が多くなります。
最近、認知症患者が増加しているのを受けて、手厚い認知症ケアを進めている老人ホームも登場しています。また、認知症の症状があっても受け入れしてもらえる施設に、グループホームがあります。認知症の高齢者が少人数で集団生活を送る介護施設で、アットホームな介護体制です。
⑤連帯保証人や身元引受人
老人ホームに入居する際、連帯保証人や身元引受人が必要です。入居者の子や兄弟姉妹など、近親者が引き受けるケースが大半です。
連帯保証人の役割は、もし入居中に支払いが滞ってしまったとき、本人に代わって支払いをします。また、身元引受人は緊急時の連絡先として必要なほか、医療措置やケアプランの同意、入院や退去時などに対応します。
なお、身寄りがなく連帯保証人や身元引受人がいない場合は、身元保証会社を利用するケースが増えています。費用を払って、身元を保証してもらうサービスです。このほか、成年後見人制度を活用する事例も増えています。
⑥収入や資産など経済面
老人ホームは、施設によって初期費用にまとまった金額が必要なほか、自宅で暮らすよりも割高な月額費用を支払い続ける必要があります。そのため、通常の写しをに基づいて、本人や連帯保証人に支払い能力を審査する老人ホームが大半です。
高齢者の中には試算が乏しく、病気やケガが続いて生活保護を受けている方もいます。その場合は、特別養護老人ホームのほか、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では受け入れしている施設が全国的に増えています。民間の介護付有料老人ホームは収入や資産のハードルが高いため、生活保護受給者は住宅型有料老人ホームやサ高住の中から入居先の候補を選んでいくといいでしょう。
主な施設の入居条件のポイント
民間の介護付有料老人ホームでは、手厚い介護サービスが24時間体制で受けられます。自立した方から要介護度が高い方、寝たきり状態や認知症の方も受け入れしている施設が多いです。
住宅型有料老人ホームは、介護付有料老人ホームに比べると自立や要介護度の低い方が多く入居しています。サービス付き高齢者向け住宅も一般型は、自立から要介護2くらいまでの方が対象です。
公的施設である特別養護老人ホームは、原則要介護3以上の方が対象です。低価格で手厚い介護サービスが受けられるため、人気が高く入居待ちで数ヶ月から数年先まで入居できないといった地域も少なくありません。
まとめ
老人ホームには、年齢や要介護度、収入や資産といった入居条件があります。条件の内容は施設形態で異なりますので、希望する老人ホームの種類によって自分の条件とマッチするか、見比べておきましょう。