
高齢者向け賃貸住宅とは、シニア向けにバリアフリー化やいざという時は介護サービスも受けられる高齢者に安心の物件です。
「元気で手厚い介護は必要ないが、高齢になって一人暮らしは心配」
「遠方の実家で両親が暮らしていたが、最近父親が亡くなって母が一人暮らしをしている」
このように、高齢だが今後の年齢とともに自宅で生活するのに不安がある場合に高齢者向け賃貸住宅が役立ちます。
ここでは、高齢者向け賃貸住宅の種類やそれぞれの特徴についてまとめてご紹介します。
高齢者向け賃貸住宅の種類

高齢者向け賃貸住宅は、老人ホームなど介護施設とは違って、不動産物件や賃貸物件と同じカテゴリです。一般的な賃貸マンションや賃貸住宅のシニア版と考えるほうがいいでしょう。
①高齢者住宅
賃貸物件のうち、高齢者が暮らしやすいコンセプトで作られた賃貸住宅です。賃貸借契約を結ぶのは一般の賃貸物件と同じですが、シニア向けに住宅がバリアフリーで設計されていたり、家賃がリーズナブルだったり、物件によって特徴は異なります。
「高齢者住宅」という枠組みがあるわけではないのがポイントです。高齢者を対象にしている以外は、オーナーがシニアライフをイメージして自由にサービス内容や設備を整えています。
高齢者住宅のうち、シニア向け賃貸マンションは、高齢者向けのサービスや設備が充実しています。賃貸マンションを高齢者向けに設計・運営することで、シニア層にアピールする狙いがあります。
賃貸マンションの一種なので、法的に必要なサービスや設備はありません。入居者は基本的に自立または要介護度の低い方です。食事や清掃といった生活支援サービスを主体にしつつ、シニアライフをアクティブに楽しみたいという高齢者のニーズに合わせたサービスもあります。サークルが盛んなところやスポーツジムやプール、温泉、シアタールームなど豪華な設備が充実している物件も人気です。
費用の目安は、物件の立地やサービス、設備によってさまざまです。
②サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
有料老人ホームの賃貸物件版といった性格を持っています。利用権方式で入居する介護付有料老人ホームなどと違って、あくまで賃貸住宅で月額の家賃を支払う契約を結びます。
サービス付き高齢者向け住宅の大きな特長は、高齢者向けのサービスが充実していること。介護職などスタッフが常駐しているので、安否確認や生活相談などのサービスを受けられます。また、食事を提供しているサ高住も多いです。有料老人ホームと違って、介護サービスの提供はありません。その代わり、介護サービスが必要な方は外部の介護事業所と契約して訪問介護や通所介護を利用します。なお、入居中に要介護度が高くなった場合は、退居しなければならないのが一般的です。
サ高住の費用の目安は、初期費用として家賃の数ヶ月分の敷金が必要です。月額費用は少なくて20万円程度、高いところでは100万円程度かかります。内訳は、居室の種類の応じた家賃や管理費のほか、共益費や水道光熱費などです。
③住宅型有料老人ホーム
民間の介護施設のうち、自立を含む幅広い要介護度の高齢者が入居する施設です。
サービス付き高齢者向け住宅と同じく、安否確認や緊急時の対応などは共通しています。また、介護サービスが必要になったときも、外部の介護事業所と契約して訪問介護や通所介護などの介護サービスを利用します。一方で、サ高住との大きな違いは、生活援助サービスやレクレーションが充実していることです。
よく似た介護施設に介護付有料老人ホームがあります。以前は、手厚い介護サービスが必要な場合は介護付有料老人ホームへ、自立や要介護度の低い方は住宅型有料老人ホームへといった分け方がよくされていました。しかし現在は、住宅型有料老人ホームでも充実した介護サービスを提供している施設が増えていて、万一入居中に要介護度が高くなった場合も退居せずそのまま暮らし続けられます。ただし、看護体制は施設による違いが大きく、たんの吸引や胃ろう、インシュリン注射など医療的ケアが必要な方は入居が難しい施設です。
住宅型有料老人ホームの費用の目安は、初期費用は0円から数千万円。月額費用は12万円から30万円程度と施設の立地やサービス内容、設備、人員配置などでさまざまです。
高齢者向け賃貸住宅で提供される主なサービス
高齢者向け賃貸住宅ではどのようなサービスが受けられるのでしょうか。
・安否確認・緊急時対応
居室で入居者の異変がないか、定期的にスタッフが巡回します。また、室内のセンサーの状況で安否確認を行うことも。緊急時には駆けつけて提携している医療機関に連絡したり、救急車を呼んだりしてくれます。サービス付き高齢者向け住宅では、夜間の安否確認や緊急対応サービスを外部の警備会社などに依頼しているケースが一般的です。
・生活相談サービス
施設に生活相談員やコンシェルジュと呼ばれる相談スタッフが常駐していて、身の回りの相談のほか、体調や介護の心配などを気軽に相談できます。
・レクリエーション・イベント
シニアライフを充実するため、サークル活動やスポーツイベント、花見や行楽など季節の行事を企画して開催しています。
・バリアフリー設計
高齢者向け賃貸住宅は基本的にバリアフリー化されています。廊下の幅も広めに取っていて、段差もなく、手すりも設置。高齢者が安心して生活できます。
まとめ
高齢者向け賃貸住宅は、自立や要介護度の低い方が、元気にシニアライフを暮らしたいといったニーズに応える賃貸物件です。また、安否確認や緊急時の対応がしっかりしているので、高齢でいざという時に心配な方も安心して生活できます。とくにサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームは、初期費用も0円から低価格で入居できる物件が多く、月額費用も民間の介護付有料老人ホームに比べるとリーズナブルな場合が多いです。
「自立した生活をいきいきと送りたいけれど、一人暮らしや夫婦ふたりでは心配」といった方はいまんせんか?見守りの目や必要に応じて生活支援や介護サービスを受けられるサ高住や住宅型有料老人ホームといった選択肢を、ぜひ検討してみましょう。