老人ホームは11種類!
それぞれの特徴やちがいは?

老人ホームについて  | 

一口に老人ホームといっても、施設のスタイルや運営主体などによってさまざまなタイプに分かれます。運営元が公的か民間なのか、入所できる条件などにもちがいがあります。
老人ホームを考えはじめたら、まず種類やその特徴、それぞれのちがいを知ることが大切です。
この記事は、老人ホームを種類別に見て、それぞれのサービスや利用料金の相場、入居条件についてまとめてご紹介します。

▼公的施設か民間施設か

まず大切なことは、老人ホームは運営主体によって大きく公的施設と民間施設の2つに分かれることです。

公的施設
国や地方自治体をベースに社会福祉法人などが運営する老人ホームです。最大のメリットは、民間施設に比べて入居費用や月額料金が安いこと。一方で、入居条件が厳しい、希望者が多いため入所まで待機する時間が長いといったデメリットがあります。

民間施設
テレビの情報番組で高級マンションのような設備に充実したサービスが受けられるといった紹介をされている老人ホームはたいてい民間施設のタイプです。民間企業が運営しているので、それぞれの施設によってサービスもさまざま。介護体制が充実している施設、プールやスポーツジム、サークル活動など余暇を楽しめるタイプもあります。公的施設に比べて比較的入居しやすい、豊富なサービスが受けられる反面、利用料金も施設によって幅があって割高になります。

▼老人ホームの種類別で見る特徴

ここからは、それぞれの老人ホームを種類ごとに詳しく見ていきましょう。

公的施設の老人ホームは5種類

まずは、公的施設から確認します。

公的施設①特別養護老人ホーム(特養)
公的施設の老人ホームといえばこのタイプといわれるほど、代表的な施設です。特養と呼ばれることが多く、地方自治体や社会福祉法人が運営。入居費用を抑えられるのが大きなメリットといえます。
特養は比較的介護度が高いことが入居条件です。要介護度3以上となっています。在宅介護を受けながら入所待ちをする方が多いのも特徴です。
要介護度が高い方の日常生活全般を介護するのが大きな目的となっています。

公的施設②介護老人保健施設(老健)
病気やケガの治療を終えて退院する高齢者が、スムーズに自宅で自立した生活を送れるように橋渡しする施設です。
いきなり退院して自宅に帰るのが難しい場合、老健でリハビリを受けながら機能回復を目指して過ごします。
入居期間は原則3ヶ月。さらに入居が必要な場合、3ヶ月ごとに判定を受ける必要があります。

公的施設③介護医療院
医療的ケアを受けながら、介護サービスも受けられる施設です。医師や看護師が常駐しているのがポイント。病気でたん吸引や経管栄養など医療的ケアが必要な高齢者のほか、ターミナルケアのための長期療養をする入居者もいます。
医療的ケアとあわせて理学療法士や作業療法士などによるリハビリも受けられます。

公的施設④ケアハウス(軽費老人ホーム)
身寄りがなく、一人暮らしが不安な65歳以上が対象の施設です。一般型と介護型の2種類があります。

●一般型
基本的に介護サービスの提供はなく、食事やそうじ、買い物といった生活支援を中心に受けられるタイプです。入居者は自立または介護度の低い方が多いのも特徴となっています。

●介護型
一般型で受けられる生活支援サービスに、介護サービスがセットで受けられる施設です。排泄介助や入浴介助、通院時の付き添いといった身体介護を受けながら、生活していきます。

公的施設⑤養護老人ホーム
主に経済的な問題で自宅での生活が難しくなった方が対象の施設です。介護サービスの提供はなく、生活保護を受ける高齢者が自立するまで生活しながら社会復帰を目指します。
地方自治体の審査や措置判断が必要になるため、入居条件が厳しいうえ、長期利用はできないのがデメリットです。

民間施設の老人ホームは6種類

次に、民間施設の老人ホームの種類を見ていきます。

民間施設①介護付有料老人ホーム
日常生活で介護ケアを受けながら生活する施設です。民間が運営する老人ホームのうち、施設によって設備やサービス、運営方針がさまざまに分かれるタイプです。要介護度は自立から要介護5までと受け入れの対象が広く、認知症の方の受け入れもしています。
ただし、公的施設に比べると費用が割高なこと、施設の設備やサービス内容によって高額になることなどに注意が必要です。

民間施設②住宅型有料老人ホーム
介護サービスの必要はなく、食事や清掃、買い物といった生活支援を受けながら日常生活を送る施設です。施設の設備やサービスはさまざまで、入居できる要介護度も施設によって異なります。そのため、入居中に要介護度が高くなった場合は退去して他の老人ホームを探さなければならないケースも。
自立や要介護度の低い方が多く入所しているのがポイントです。レクリエーションやイベントが盛んな施設が目立ちます。介護サービスを受けたい場合は外部から訪問介護に来てもらったり、デイサービスに通ったりします。

民間施設③健康型有料老人ホーム
老人ホームのなかで、介護が必要のない自立の方が入所する施設です。食事、清掃、洗濯、安否確認といった生活支援が中心で、施設内でイベントやレクリエーションをおこないます。
プールやジム、温泉といったスポーツ施設や娯楽設備など、施設ごとに充実した設備を持っていて、第二の人生を思いきり楽しむスタイルの施設が少なくありません。

民間施設④サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
高齢者向けのマンションで、バリアフリーのため生活しやすい施設です。老人ホームというより住まいの一つとして選択されています。
入居者は一般的なマンションと同様、個室で暮らしながら、共同の食堂や談話室、浴室やランドリーを利用します。安否確認サービスのほか、夜間常駐のスタッフがいる施設が多く、安心して生活できます。

民間施設⑤シニア向け分譲マンション
分譲マンションのうち高齢者が暮らしやすいようにバリアフリーで建てられた住居です。
フィットネスやレストラン、温泉などシニアライフを楽しめる娯楽施設が充実しているところが多くなっています。高級分譲マンションのようにコンシェルジュや家事代行サービス、食事の提供のほか、緊急時対応や見守りをしている施設もあるなど、ハイクオリティのサービスを受けながら快適に過ごせます。

民間施設⑥グループホーム
認知症をかかえる高齢者が対象の施設です。5〜9人といった少人数が1グループになって、集団生活を送ります。日常生活では、認知症ケアの知識やスキルのある介護スタッフが常駐。24時間体制で入所者のケアをおこないます。
認知症の方が家事を協力しながら、症状の進行を遅らせるリハビリを受けたり、施設内や地域でのレクリエーションを楽しんだりしながら、過ごします。

まとめ:
老人ホームの種類をチェックするときのポイント

ここまで、種類別に老人ホームの特徴やちがいをまとめて見て来ました。

・国や地方自治体、社会福祉法人などが運営する公的施設は費用が抑えられる
・公的施設は入所待ちが多く入居できるまで時間がかかることも
・民間施設は施設ごとに設備やサービスに特色がある
・公的施設の老人ホームに比べると割高
・シニアライフを楽しめる充実した設備やサービスを備えた老人ホームも

老人ホームは種類ごとに特徴やちがいがあって、メリットやデメリットが異なります。老人ホームを考えはじめたら、それぞれのポイントをチェックしてイメージに近いものを選んでいきましょう。