サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と
介護付き有料老人ホームのちがい

老人ホームについて  | 

老人ホームを考えるとき、大きく影響するのが「介護がどの程度必要か」ということです。自立から要介護まで、介護保健制度で要介護度の高い・低いが認定され、入居条件にも関係してきます。
自立や要介護度の低い方は、常時介護を必要とする老人ホームには入居条件が合わないことが多いです。一方で、介護サービスの提供がない住宅スタイルの施設では、日常的に介護ケアが必要な高齢者は受け入れしていないことも少なくありません。


老人ホームの種類で、サ高住と呼ばれるサービス付き高齢者向け住宅(住宅型)と介護付き有料老人ホームはよく比較されます。ここではサ高住に似た住宅型有料老人ホームにも触れながら、それぞれの特徴やちがいについてご紹介します。

まず、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と介護付き有料老人ホームの特徴を見ていきましょう。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

特徴

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者向けに設計されたマンションです。一般的に介護サービスの提供をおこなう老人ホームとちがって、賃貸マンションをシニアが暮らしやすいようにバリアフリーになっているほか、入居者が共用できる食堂や談話室、浴室などの設備があります。

サービス内容

サ高住で最低限提供しなければならないサービスは安否確認と生活相談です。したがって、訪問介護や通所介護(デイサービス)など介護が必要な入居者は外部の介護サービスを利用します。日中は介護スタッフや医療従事者が常駐しています。しかし、夜間は常駐スタッフがいる施設もあれば、緊急通報システムで対応しているケースもあります。

ポイント

サービス付き高齢者向け住宅は、賃貸マンションと同じように敷金や家賃にもとづく賃貸契約を結びます。また、戸別に玄関のある一般のマンションとちがって、入院病棟のようにスライド式のドアでふだんは鍵がかかっていない場合が多いです。

▼注目!住宅型有料老人ホームとは?

サ高住に似た施設に「住宅型有料老人ホーム」があります。
全国の有料老人ホームのうち、約4割が介護付き、約6割が住宅型です。
施設が提供するのは生活支援等サービスとなっていて、もし介護が必要になったときは、サ高住と同じく外部の介護サービスを利用します。

サ高住とのちがいは、

●マンションを借りるように賃貸契約をむすぶサ高住とちがって施設を利用する権利にもとづく契約をむすぶこと
●敷金(家賃の3ヶ月程度が目安)が必要なサ高住、入居一時金(施設によって高いところは数千万も)が必要になる
サ高住は安否確認と生活相談がサービスの基本、住宅型有料老人ホームはさらに食事や健康管理、アクテビティも受けられる

などがあげられます。
老人ホームという施設の枠組みがはっきりしているのが住宅型有料老人ホームで、あくまで賃貸マンションという住宅に住むのがサービス付き高齢者向け住宅といったわけ方もできるでしょう。

介護付き有料老人ホーム

特徴

介護付き有料老人ホームは、その名の通り、老人ホームのうち介護サービスを受けながら生活する施設です。民間企業が運営していて、施設ごとに特色があり設備やサービスなどもそれぞれ異なります。自立から要介護5まで受け入れている施設が大半です。

サービス内容

施設所属の介護スタッフが24時間体制で介護をおこないます。自立した方が入居して、将来的に介護が必要になった場合も、外部の介護サービスではなく入居先の施設が提供する介護サービスを受けながら生活をつづけます。

ポイント

有料老人ホームのうち、約4割が介護付き有料老人ホームです。法律で施設ごとに介護スタッフや看護師などの人数が決まっていて、常駐しています。施設が介護保険サービスを提供しているほか、デイサービスやショートステイを併設している施設も少なくありません。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と介護付き有料老人ホームのちがい

ここからは、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と介護付き有料老人ホームのちがいを、ポイントを絞ってご紹介します。

施設基準

居室は介護付き有料老人ホームよりサ高住のほうが約2倍以上広くなっています。
サービス付き高齢者向け住宅は原則25㎡以上の個室なのに対して、介護付き有料老人ホームは13㎡以上の個室です。

サービス

サ高住は、安否確認と生活相談のみが基本です。ただし、介護が必要になった入居者が個別で外部の介護サービスを利用します。訪問介護による調理や清掃、通所介護(デイサービス)を利用しながら生活します。
一方で、介護付有料老人ホームでは、施設の介護スタッフが介護ケアをおこないます。食事や見守りなど日常生活全般で介護を担当します。

スタッフ

サービス付き高齢者向け住宅では、日中は介護スタッフや看護職員が常駐しているものの、夜間は常駐の必要がないため緊急通報システムでの対応のみの施設も少なくありません。
介護付有料老人ホームは、看護師や介護士の人員配置基準が決まっているほか、24時間体制で施設スタッフが介護をおこないます。

メリットとデメリット

サービス付き高齢者向け住宅は、賃貸マンションのシニア版といった位置づけなので、自由な生活スタイルで暮らせます。門限もありませんし、食事や入浴なども思い思いにまかせられます。ただし、介護が必要なときは外部の介護サービスを利用しなければいけないこと、介護度が高くなったり、医療的ケアが必要になったりすると介護ケアの充実した施設に移らなければならない場合もあります。

介護付き有料老人ホームは、日常生活全般で介護ケアをおこなっているので安心して暮らせます。専門の介護スタッフが常駐していたり、医療的ケアも受けられたりするため、自立した方から要介護度の高い方まで入居できるのがメリットです。ただ、介護サービスが充実しているぶん、サービス付き高齢者向け住宅に比べると入居費用が割高になる傾向があります。

まとめ:
サービス付き高齢者向け住宅と介護付き有料老人ホームの大きなちがいは「介護サービス」

このように、安否確認や生活相談が基本で賃貸マンションがベースのサービス付き高齢者向け住宅と介護サービスが充実している介護付き有料老人ホームでは、日常的に受けられる介護サービスに大きなちがいがあります。
要介護度や費用も考えながら、自身にあった施設を選ぶことが大切です。