サービス付き高齢者向け住宅とは?

老人ホームについて  | 

サービス付き高齢者向け住宅とはその名の通り、高齢者が決まったサービスを受けられるように高齢者住まい法に基づいたバリアフリー構造の賃貸住宅のことです。日常的な介護サービスを必要としない比較的自立度の高い方の入居を対象としています。


サービス付き高齢者向け住宅の運営上、義務付けられているサービスとして安否確認と生活相談があります。安否確認とは定期的な巡回と合わせて緊急時に病院連絡を行うサービスです。生活相談とは日常生活に関する相談や医療・医療サービスを受けるための支援を受けられるサービスです。
その他の医療・介護サービスを必要とする場合、外部の介護サービス事業者や医療機関との個別契約が必要となります。食事提供や洗濯・掃除などの生活支援に関してもオプションのサービスとなる点に注意が必要です。

サービス付き高齢者向け住宅の種類

サービス付き高齢者向け住宅には、一般型と厚生労働省が定める「特定施設」の指定を受けている施設(以下、介護型)の2種類があり全体の約90%を一般型が占めています。

それぞれの特徴について下記の表にまとめます。

 一般型介護型
入居対象自立から軽介護度まで自立から要介護5まで
医療体制看護師の常駐義務なし24時間の介護士常駐および
日中の看護師常駐
介護サービスなし
※必要な場合は要外部契約
あり
レクリエーション少ない比較的多い

一般型は月額費用が低く抑えられるメリットがある反面、介護サービスや医療的ケアが必要となった場合に外部の事業所、医療機関との契約が必要となります。普段の生活に不安を感じたら、介護型または医療体制の整った特定施設入居者生活介護への転居を早めに検討しましょう。


創設当初、サービス付き高齢者向け住宅は自立された方や介護度の軽い高齢者を入居対象としていましたが、認知症患者や介護認定を受けた高齢者の増加に加え、入居費用が比較的低額な特別養護老人ホームの空室がないことから、近年は介護度の高い方の入居が目立ちます。

サービス付き高齢者向け住宅の入居条件

サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上または60歳未満で要支援・要介護認定を受けた方が入居対象となっており、自立の方も入居して頂けます。
同居者の条件として、
・配偶者(婚姻届を出していない内縁関係にある場合を含む)
・60歳以上の親族
・要支援・要介護認定を受けている親族
・特別な理由で同居の必要があると知事が認める者
が挙げられます。

表に示した通り、一般型と介護型では介護サービスや医療体制に相違があります。入居者の要介護度や認知症の有無によって、一般型では入居を受け付けていない事業所もありますので、入居条件は事前によく確認しておきましょう。

サービス付き高齢者向け住宅の費用

一般型と介護型のサービス付き高齢者向け住宅の入居費用は下記の通りです。

 一般型介護型
契約形態賃貸借契約利用権契約
初期費用数十万円程度数十万~数千万円
月額費用5万~25万程度15万~40万円程度

まず、初期費用として敷金(保証金)または入居一時金がかかります。それに加えて月額費用として、家賃、管理費にオプションで食事代や介護サービス費用がかかります。
介護型の方が一般型よりも初期費用、月額費用共に高くなっています。
一般型は賃貸借契約となるため、要介護度の進行による転居や長期的な入院、死去などの理由で3か月以内に退去される場合、初期費用の一部が返還されることがありますので、契約内容をよく確認してみてください。

サービス付き高齢者向け住宅の運営基準

サービス付き高齢者向け住宅の運営上、安否確認と生活相談の受け付けが必要です。逆に言うと、その条件さえクリアしていれば人員基準を満たしていることになります。

【人員基準】
必要なサービスを提供するため、日中(概ね9時~17時)はケアの専門家が1名以上常駐している必要があります。ケアの専門家には下記の者が該当します。
・生活相談員
・指定居宅サービス事業所職員
・医師または看護師
・社会福祉士
・介護福祉士
・介護支援専門員(ケアマネージャー)
・介護職員初任者研修過程の修了者

【設備基準】
入居者にとって安心かつ安全な生活のために下記の設備基準が設けられています。

介護居室バリアフリー構造でトイレ・洗面所を含め25㎡以上
(共有スペースを共同利用する上で十分な場合は18㎡以上で可)
各居室にトイレ、洗面台、収納設備があること
トイレに手すりが付いていること
出入口の幅が75㎝以上であること
浴室手すり付きで出入口の幅60㎝以上・面積18㎡以上であること
共有トイレ居室のある階ごとに設置し、非常用設備を備えていること
施設全体廊下幅78cm以上(柱がある部分は75㎝以上)
バリアフリー構造
3階建て以上の住宅は出入口のある階に停止するエレベータを設置

サービス付き高齢者向け住宅のメリットとデメリット

サービス付き高齢者向け住宅を他の介護施設と比較した場合、入居者の要介護度や希望する生活スタイルによって良い面と悪い面の両面があります。入居してから「こんなはずじゃなかった!」とならないように、メリットとデメリットについて確認しておきましょう。

【メリット】
・初期費用が抑えられるため住み替えがしやすい
・体調に問題が無ければ外出や外泊が自由にできる
・必要な介護サービスを自分で選ぶことができる

【デメリット】
・事業所によってサービス内容が異なるため複雑で分かりにくい
・必要な介護サービスが増えた場合に月額費用が割高になることがある
・重度の介護が必要となった場合に退去が必要になるリスクがある

必要なサービスだけを利用する自由度の高い生活か、介護・医療サービスをフルに活用した安心で安全な生活のどちらを選ぶかは入居者・ご家族の意見がもっとも分かれる部分になるのではないでしょうか。

まとめ

日常生活で自立されている方が入居を考えられる際、候補になると思われるサービス付き高齢者向け住宅についてお伝えしました。まだ歴史が浅いこともあり、事業所によってサービス内容は千差万別です。ネットの情報だけでなく、実際の施設見学を通じて契約内容の詳細についてよく確認しておくことをお勧めします。
現代は人生100年時代と言われています。身の周りのことが自分でできる今だけではなく、疾患や体力の低下によって医療・介護サービスが必要になった将来のことも考えて、この記事が今後の住まい選びの参考になりましたら幸いです。