介護付き有料老人ホームとは?

老人ホームについて  | 

介護付き有料老人ホームとは、介護保険制度上の人員・設備・運営の基準をクリアして自治体から特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護施設のことです。
24時間介護スタッフが常駐しているので、洗濯や部屋の掃除、入浴・食事・排泄など日常生活に必要なサービスを受けることができます。
介護付き有料老人ホームは、主に民間企業によって運営されています。

介護付き有料老人ホームの入居条件

介護付き有料老人ホームには専用型と混合型の2種類があり、入居条件が異なります。

専 用 型要介護度1以上の65歳以上の高齢者
混 合 型自立・要支援・要介護の65歳以上の高齢者

入居時に利用権契約を採用しており、終身にわたって居室と共用設備を利用する権利と介護・医療サービスを受ける権利が保障されます。そのため、介護度が上がったことを理由に退居を求められる心配は要りません。

ただし、覚えておいて頂きたいのは老人ホームを始めとする介護施設は生活の場であって、治療をする場所ではないと言うことです。医療依存度の高さによっては、治療目的で入院が必要となる場合があります。

介護付き有料老人ホームを含む特定施設では、看取り相談を受け付けている場合が多く、終末期を施設で迎える入居者の方も居られます。看取り介護を行っていない施設では、終末期を迎えると退居を求められる場合があるので、その点でもメリットは大きいと言えるでしょう。
なお、看取り介護を実施する場合は看取り介護加算が月額費用に追加されます。

生活保護受給者の方の入居に付いては、全体の1割程度の老人ホームが受け入れている調査報告がありますので、電話などで問い合わせてみると良いでしょう。

介護付き有料老人ホームの費用

費用としては、初期費用の入居一時金に加えて月額利用料がかかります。
入居一時金は事業所の規定によって異なり、0円から数千万円まで金額にかなりの差があります。

月額利用料の内訳は下記のとおりです。
・賃料
・管理費
・食事代
・介護サービス費用
・医療費
・日用品などの雑費

施設によって上乗せ費用や横出しサービス費用が加算されることもあります。

【上乗せ費用】
要介護者3名に介護職員1名の人員基準に対し、2.5対1以上の手厚い人員を配置している場合に加算される費用を指します。

【横出しサービス費用】
買い物代行や通院同行など、通常の介護サービスに含まれないサービスを利用した場合に加算される費用のことです。

きめ細かなニーズに応えてもらえる反面、他の介護施設と比べるとトータル費用は高くなります。

なお、月額利用料は介護サービスの利用回数に関わらず、介護度による定額制となっています。
そのため、介護サービスをほとんど利用されない方は割高に感じるかもしれません。
月額利用料は地価や築年数、人件費などのランニングコストにも左右されます。

介護付き有料老人ホームで使える控除

入居時に適用される控除として、扶養控除、障害者控除、医療控除の3種類があります。
それぞれの適用条件について確認してみましょう。

【扶養控除】
・入居前から入居者を扶養に入れて扶養控除を使っている場合
・入居者の月額利用料を親族が代わりに支払っている場合

※扶養控除を受ける場合、自営業者は確定申告、会社員は勤務先に扶養控除申告書の提出が必要です。

【障害者控除】
自治体で障害者控除の対象として認定を受けることで適用されます。
障害者控除は27万円、特別障害者控除の対象になると40万円の控除が受けられますので、各自治体に問い合わせてみてください。

【医療控除】
施設で使用したオムツ代や訪問診療や通院で掛かった費用のうち、医療控除対象となる場合があります。対象となるかどうかは、領収書に「医療費控除対象」の記載があるかをご確認ください。

施設入居となると何かと出費がかさみますので、控除制度は上手に活用したいですね。

介護付き有料老人ホームで受けられるサービス

介護保険を使った介護サービスを受けられるほかにも、レクリエーションや季節にまつわる行事などを通じて入居者同士や地域住民との交流ができるのが魅力です。

日中、共有スペースで過ごされる入居者様には1名以上の職員が必ず見守りを行っているため、安心してお過ごしになられることができます。夜間は1名以上の介護職員が常駐し、2,3時間おきに巡回していますので急な体調変化の際にも迅速な対応が可能です。

ただし、原則として外部サービスは利用できないことを頭に入れておいてください。

介護付き有料老人ホームの運営基準

特定施設の指定を受けるため、介護付き有料老人ホームは下記の人員基準と設備基準を満たすことが義務付けられています。

【人員基準】

管 理 者常勤1名(施設長との兼任可)
生活相談員入居者100名に対して常勤1名以上
計画作成担当者入居者100名に対して常勤1名以上
機能訓練指導員(※)1名以上
介 護 職 員要支援の入居者10名に対して1名以上
要介護の入居者3名に対して1名以上
看 護 師30名までの入居者に対して常勤換算で1名以上
30名を超える場合は50名ごとに1名追加

※機能訓練指導員とは、下記のいずれかの国家資格を有する者を指します。
・理学療法士
・作業療法士
・看護師または准看護師
・言語聴覚士
・柔道整復師
・あん摩マッサージ指圧師
・鍼灸師

そのほか定期的に職員研修を実施すること、職員の健康・衛生管理に努めることが求められます。

【設備基準】

介 護 居 室個室且つプライバシー保護に配慮した適当な広さを保つこと
(トイレ・洗面所を含めて13㎡以上)
一時介護室介護を行うために適当な広さを保つこと
浴 室手すりや機械浴など身体の不自由な入居者が入浴するのに適した設備を有すること
共有トイレ居室のある階ごとに設置し、非常用設備を備えていること
食堂・機能訓練室機能を十分に発揮し得る適当な広さを保つこと
施 設 全 体利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間および構造であること
出入口が緊急避難時に対応できること
(停電時は手動で解錠が可能)

そのほか建築基準法に規定された耐火建築物または準耐火建築物であること、消防法に定める事故や災害に対する設備を設けることが義務付けられています。

まとめ

ひとくちに介護付き有料老人ホームと言っても、費用やサービス内容などは事業所によってピンからキリまで様々です。
契約内容をよく確認して不明点を解消するのはもちろんですが、事前に施設見学を通じてスタッフや施設の雰囲気なども施設選びにおける重要なポイントとなります。
何よりも入居されるご本人が安心して生活できることを最優先に考えたいですね。