自助具の上手な活用法|福祉用具との違いも解説

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自助具は、高齢者や障害者にとって日常生活を自立して送るための重要なアイテムです。日常生活の中で、ちょっとした動作が困難になるだけで、高齢者や障害を持つ方々にとっては大きなストレスとなります。しかし、種類や選び方によって効果は大きく変わるため、自分に合った自助具を見つけることは難しいケースが少なくありません。

そこでこの記事では、自助具と福祉用具の違いを明確にしながら、自助具を有効活用するためのポイントを紹介します。

1.自助具とは?福祉用具とは?

自助具と福祉用具は、加齢による身体機能の衰えや病気やケガによる障害のため、歩行や移動、生活動作などで日常生活に支障をきたしている方が、自立した生活を送るために役立つ重要な道具です。しかし、それぞれの特徴や役割、違いをご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか。

そこでまず、自助具と福祉用具、それぞれの特徴と違いを理解し、自分に合った道具を選ぶ基本的な知識を把握しましょう。

● 自助具とは

自助具は、高齢者や障害者など日常生活動作(ADL)に困難を抱えている人が、食事、入浴、排泄、移動、整容など、さまざまな場面で自立を補助するために使用する道具です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・食事用
  滑りにくい加工がされた食器、持ちやすいスプーンやフォーク、片手で使える包丁など
・入浴用
  手すり、入浴補助板、シャワーチェア、滑り止めマットなど
・排泄用
  便座昇降器、ポータブルトイレ、尿取りパッドなど
・移動用
  車椅子、杖、歩行補助具、滑り止めシートなど
・整容用
  拡大鏡、ヘアブラシ、電動歯ブラシ、爪切りなど

こういった自助具は、高齢者や障がい者の日常生活動作をより安全かつ容易にし、生活の質(QOL)向上に役立ちます。

● 福祉用具とは

一方、福祉用具とは、自助具の中でも国や自治体が補助金を交付して購入できるものを指します。自助具と比べて、より高価なものや、専門的な知識や技術が必要なものなどが対象です。具体例は下記の通りです。

・介護用ベッド
  電動昇降式のものや、起立介助機能付きのものなど
・車椅子
  電動式のものや、高機能なクッション付きのものなど

福祉用具は、自助具よりも高額な場合が多く、購入には医師の診断や要介護認定が必要となる場合もあります。しかし、補助金制度を活用することで、経済的な負担軽減が可能です。なお、福祉用具を購入またはレンタルする際は、ケアプラン担当のケアマネジャーや介護・福祉用具会社の福祉用具専門相談員に相談するのが一般的です。

参照:自助具のご紹介 – 福岡県作業療法協会
参照:一般社団法人 日本福祉用具供給協会 - 福祉用具にはどんなものがあるの?

2.自助具と福祉用具の違い

自助具と福祉用具の違いは、主に以下の2つです。

◆ 購入費用
自助具は自己負担が原則で、市販で購入できます。一方、福祉用具は国や自治体の補助金が受けられる場合がありますが、原則購入には医師の診断や介護認定が必要です。

◆ 対象者
自助具は、高齢者や障害者など日常生活に支障をきたしている人が対象ですが、福祉用具は、より重度の障害や介護度の高い人が対象となります。

このように、自助具は、幅広い方が利用できる一方、福祉用具は、より重度の障害や介護度を持つ方のアイテムです。

参照:前半 1.福祉用具の給付制度|知っておこう福祉用具の給付制度|特集記事|福ナビ

3.自助具の上手な活用法

自助具を効果的に活用するためには、下記3点に注意しましょう。

自分に合った自助具を選ぶためには、まずは自分の日常生活でどのような困りごとがあるのかをイメージしてみてください。その上で、理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフや福祉用具専門相談員といった専門家に相談し、ニーズに合った自助具を選んでもらいましょう。

自助具を正しく使うためには、使用方法をよく確認することが大切です。また、慣れるまでは自助具の使い方を練習する機会を設けましょう。

なお、自助具は使用頻度や経年劣化によって、故障や破損する可能性があります。安全に使用するためにも、定期的なメンテナンスが大切です。

4.まとめ

自助具を上手に活用することで、介護が必要な方でも日常生活をより快適で自立した状態を目指せます。ぜひ、自分に合った自助具を見つけて、上手に活用してください。