11月11日は「介護の日」。「いい日、いい日」という語呂合わせから、2008年に国民からの意見を基に制定されました。介護への理解を深め、支え合いの輪を広げることが、「介護の日」の目的です。
この機会に、介護の現状と課題について考えてみませんか?
そこでこの記事では、「介護の日」の概要と、介護に関する悩みや不安を抱える方々のための相談窓口をまとめました。一人で抱え込まずに、専門家や地域の支援を活用する大切さについても触れていますので、最後までご一読ください。
「介護の日」とは
「介護の日」は、高齢化が進む日本社会において、介護の重要性と課題に対する理解を深めるための日です。2008年、介護サービスの利用者とその家族、介護従事者を支援し、地域社会における支え合いや交流を促進することを目的に、厚生労働省によって制定されました。
高齢者や障害者の生活を支える重要な役割を果たしている介護ですが、同時に多くの課題も抱えています。「介護の日」を通じて、介護に関する様々な課題について社会の認識を高め、介護の質の向上と介護従事者の労働環境改善につなげることが期待されています。
【11月11日に決まった理由】
11月11日が「介護の日」に選ばれた理由は、シンプルかつ覚えやすい語呂合わせからです。「いい日、いい日」という言葉から連想される「11月11日」が、介護に感謝し、重要性を再認識する日としてふさわしいと国民からの意見募集を経て決定されました。
覚えやすい日付によって、毎年この日を中心に、介護に関する様々な啓発活動やイベントが全国で行われ、介護への関心を高める機会となっています。
介護を取り巻く現状
日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入しており、介護需要も急増しています。2021年の統計によると、65歳以上の高齢者人口は約3,640万人で、総人口に占める割合は29.1%に達しています。この割合は今後も上昇し、2040年には35.3%に達すると予測されています。
高齢者人口の増加に伴い、要介護認定者数も年々増加しており、2022年度には約694万人に達し、過去最多を記録しました。今後も、介護サービスの需要増加と、それに伴う介護費用の増大が見込まれます。
現在、特に、介護従事者の確保が大きな課題です。厚生労働省の推計によると、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされていますが、現状のペースでは2026年度で約25万人、2040年度で約57万人が不足すると予想されています。
介護職の主な課題として、低賃金や身体的・精神的負担、離職率の高さ、キャリアパスの不明確さなどが指摘されてきました。政府は介護職の処遇改善や働き方改革を進めていますが、根本的な解決にはまだ時間がかかると見られています。
参照:統計局ホームページ_令和3年_統計トピックスNo.129 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-_1. 高齢者の人口
参照:要介護694万人、過去最多 22年度介護保険実績(厚労省) – 福祉新聞Web
参照:介護人材確保に向けた取組について|厚生労働省
介護の悩み相談窓口リスト
介護に関する悩みや不安を抱える方々のために、様々な相談窓口が用意されています。下記で、代表的な窓口を紹介します。
▽全国共通の相談窓口
・介護保険の相談窓口(介護保険制度全般に関する相談)
0570-052-110
・認知症を介護する家族の不安や悩み相談(認知症の人と家族の会)
0120-294-456
▽地域別の相談窓口
・東京都介護保険相談窓口
03-5320-4597
各都道府県や市区町村にて、地域の実情に応じた相談窓口が設置されています。お住まいの地域の窓口については、各自治体のHPや広報誌でご確認ください。
▽専門分野別の相談窓口(認知症、在宅介護など)
・若年性認知症コールセンター
0800-100-2707
・在宅介護相談
各地域の地域包括支援センターで対応
ここで紹介した窓口を積極的に活用し専門家のアドバイスを受けることで、介護の負担を軽減する工夫に取り組みましょう。
介護者のメンタルヘルスケア
介護者自身の心身の健康を保つことは、質の高い介護を続ける上で非常に重要です。
次のようなセルフケアを心がけましょう。
1. 十分な睡眠と休息を取る
2. バランスの取れた食事を心がける
3. 定期的な運動や趣味の時間を確保する
4. ストレス解消法を見つける(瞑想、音楽鑑賞など)
5. 自分の限界を知り、必要に応じて援助を求める
また、レスパイトケア目的でショートステイやデイサービスなどの介護サービスを活用すると、介護者の負担軽減に繋がります。
まとめ
「介護の日」は、介護の重要性を再認識し、社会全体で支え合う大切な機会です。高齢化が進む日本社会において、介護需要は今後さらに増加することが予想されるため、介護に関する課題に対応するためには、介護従事者の労働環境改善や、介護者へのサポート強化が不可欠です。
介護は決して個人や家族だけの問題ではありません。社会全体で支え合い、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現に向けて、一人一人が「介護の日」を機に考え、行動することが重要です。困ったときには躊躇せず相談窓口を利用し、地域の支援窓口や介護サービスを積極的に活用しましょう。