若年性認知症は65歳未満で発症する認知症であり、早期発見が非常に重要です。次第に認知機能が低下していく重篤な症状が現れるため、患者本人だけでなく家族にとっても日常生活はもとより将来への不安や心配の大きな原因になります。
そこでこの記事では、若年性認知症のサインや早期発見のポイント、診断を受けた後に利用できる介護サービスについて紹介します。
若年性認知症とは
若年性認知症は65歳未満で発症する認知症で、認知機能の低下が特徴です。
近年、若年性認知症の患者数が増加しており、2018年時点で全国約3.57万人と推計されています。そして、有病率は18歳から64歳の人口10万人あたり50.9人です。
若年性認知症の主な初期症状には、記憶障害、注意力の低下、判断力の欠如、言語能力の低下などがあります。病気の原因は明らかになっていませんが、ストレスや生活環境の変化、遺伝的要因などが関係していると考えられています。
若年性認知症の患者の大半は発症時には就労しており発症後退職するケースが多く、世帯収入の減少を経験しており、障害年金や生活保護の受給率も高い点が特徴です。
参照:若年性認知症について知りたい|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター
早期発見のポイント
若年性認知症は早期に発見し治療を始めることが非常に重要です。
典型的なサインとして、
● 物忘れがひどくなる
● 日常業務での単純なミスか増える
● 言葉が出てこない
● 月日がわからなくなる
● 読み書きが困難になる
● 着替えができなくなる
● 道に迷って帰宅できなくなる
などが知られています。
若年性認知症を早期発見・早期治療につなげることで、認知機能の低下の予防または進行を遅らせられる可能性があります。ただ、残念ながら、一般的に若年性認知症の理解は進んでいません。特に若年性認知症の場合、仕事のミスや物忘れなどを単なる疲れやストレスのせいと考え、本人や家族が初期症状を見逃すケースが少なくありません。また、初期にうつ病と疑われて、発見が遅れる場合もあります。
そのため、上記で挙げたサインに気づいたら、物忘れ外来や老人外来をはじめ精神科や脳神経内科などで医師の診察を受けましょう。
参照:若年性認知症4つの対策 初期症状や原因、対策法徹底解説 _ NHK健康チャンネル
介護サービスなどの支援内容
若年性認知症は65歳未満で発症するため、働き盛りや子育ての世代が多く、就労や家計、教育費などの経済的な課題に直面しやすいのが特徴です。介護は主に配偶者が行うため、親の介護との重複するケースもあり、家族の介護負担が大きくなる場合が少なくありません。
そのため、若年性認知症のために整備された下記のネットワークを通じ、早いうちから診断後の人生計画を立てることが重要です。
● 医療機関での受診
● 認知症サポート医の助言
● 専門医療機関への連携
● 地域包括支援センターでの相談
特に、若年性認知症支援コーディネーターによる個別の相談支援、認知症初期集中支援チームによる早期対応をはじめ、日常生活自立支援事業、成年後見制度など、具体的な生活支援や人生設計に関わるサポートも利用可能です。
また、条件によって公的介護保険サービスが利用できる場合があります。通常、介護保険サービスは65歳以上かつ要介護認定を受けた方を対象としていますが、若年性認知症は特定疾病に含まれており40歳から64歳でもサービスの対象となる場合があります。
こうした様々な支援を活用し社会とつながりながら、日常生活を安心して送れるよう適切な支援を受ける必要があります。
まとめ
若年性認知症は早期に発見し、医療機関や公的サービスでの相談により患者や家族の生活の質を維持しながら治療に取り組むことができます。ただ、初期症状のサインを把握して具体的なサポートにつなげるためには、社会全体で若年性認知症に対する理解を深め、支援の輪を広げることが大切です。
特に、就労中の若年層が若年性認知症と診断された場合、経済的な支援や職場での配慮が欠かせません。また、家族が介護者となるケースが多いため、介護保険サービスの活用を始めとした家族支援の充実も求められています。
まず、一人ひとりが若年性認知症に対する知識を学び、必要なサポート窓口に相談できるよう心に留めておきましょう。
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