一般に「1日1万歩」が健康的な生活を送るための鉄則だと思われていますが、「毎日それだけ多くの歩数を歩くのは大変」と感じ目標に達成できないと悩んでいる方が少なくありません。
しかし、新たな研究結果により、長年世間一般に広がっていた『健康の常識』が実はある誤解に基づいている可能性が明らかになってきました。
そこでこの記事では「1日1万歩」に対する独自の見方を提案する青柳先生の研究に基づき、健康で長生きするためのウォーキングの新常識について詳しく解説します。
「1日1万歩」は本当に健康に良いのか?
「1日1万歩」は健康に良いとされる運動目標としてよく耳にする常識のひとつです。さまざまな健康関連本やインターネットをはじめ生活習慣病患者を診療する医師からも推奨されています。
しかし、実際にはこの「1日1万歩」という数値がどのように決まったのか、実際にどこまで効果があるのかについてはさまざまな疑問点が浮上しています。
そんななか、「1日1万歩」の『常識』に対して新たな視点で啓発しているのが、東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利・運動科学研究室長です。
青柳先生によると、「1日1万歩」を目標にすること自体が悪いわけではありませんが、その方法と期待される効果とのバランスを考える必要があると訴えています。1万歩を続けてもその取り組み方が間違っていれば、健康効果は得られないどころか、逆に健康を害する可能性もあるというのです。
例えば、歩き方や歩く速度、運動負荷が不適切な場合、効果が半減するだけでなく、骨粗しょう症や関節のトラブルを引き起こす恐れを指摘しています。
青柳先生は、1日に8000歩程度歩き、その中に20分の中強度の運動を取り入れる方法を推奨しています。15年以上にわたり続けた大規模な研究に基づく新たな健康のための運動指標です。今後の健康志向の人々にとって新たな目標と言えるでしょう。
年齢に合わせたウォーキングの質が重要
ウォーキングは単に歩数をこなすだけではなく、どのように歩くかも非常に重要です。正しい姿勢、適切なスピード、そして適度な負荷が健康への効果を大きく左右します。
しかし、ウォーキングをし過ぎると、実は免疫力が低下する恐れが高まります。つまり、適度な運動は免疫力を高めるとされていますが、そのバランスが崩れると健康にマイナス影響を及ぼしてしまうのです。
具体的に、カナダとオーストラリアで行われた血液検査による研究では、適度なウォーキングがHDL(善玉コレステロール)を良い値に保つ一方で、歩き過ぎるとかえって悪玉コレステロールが増加する可能性が指摘されています。
また、40歳を超えると、関節の劣化や体力の低下が進むため、ウォーキングの方法や負荷により注意が必要です。特に速度や歩数に固執するのではなく、自分の体調と相談しながら適度な運動を心掛けましょう。
ある旅館の女将さんが1日1万歩以上を続けていたにも関わらず、骨粗しょう症になってしまった事例もあります。特に年齢が高くなると、過度なウォーキングは関節に負荷をかけ、さまざまな疾患のリスクを高める場合があります。適切なウォーキングシューズの選び方や、地面の硬さにも注意が必要です。
このように、年齢と共に体力や運動能力は自然と低下するため、一人ひとりの健康状態に合ったウォーキングが重要です。週に数回のストレッチや強度の低い運動を取り入れることで、健康な体を維持する機会を作れます。
青柳先生推奨:新しいウォーキングの黄金律
前述の青柳先生が群馬県中之条町で行った15年以上にわたる研究によれば、1日8000歩と20分の中強度運動を行う運動を推奨しています。
参加者は地元の住民を中心に、年齢、性別、職業などが多様な人々で構成されていました。
調査した結果、1日8000歩と20分の中強度運動を続けることで、参加者の免疫力が向上しました。特に、風邪や感染症にかかる頻度が減少したことが報告されています。このほか、血液循環の良化、関節への負担の軽減など、多くの健康効果が確認されました。
また、研究期間中には、定期的な血液検査も行われました。運動を続けた結果、参加者の血液中のコレステロール値が改善され、心臓病や脳卒中のリスクを低減する効果もあると考えられます。
まとめ:新たな視点で健康的なウォーキングを
新しい黄金律は、単に歩数にこだわるのではなく、運動の質と量のバランスを図る、新しい視点を私たちに伝えています。特に、中強度の運動が加わることで、心肺機能の向上や筋力維持の可能性が高くなるとされています。
このように、健康効果を求めてウォーキングをする場合、「どれだけ歩いたか」ではなく「どのように歩いたか、そしてその他にどういった運動を取り入れたか」という視点が重要です。青柳先生の推奨する新しいウォーキングの黄金律を参考に、ぜひ新たな健康の指針にしていきましょう。
参照:「1日1万歩」は間違い? ウオーキング黄金律の真実 – 日本経済新聞
参照:「1日1万歩」は実は歩き過ぎかも!キレイも健康も叶える“非常識”ウォーキングとは? _ P&G マイレピ
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