介護保険サービスを受ける為には基本的に介護の認定を受けなければいけません。「要支援」や「要介護」の認定を受けることで、介護保険が活用でき、費用負担も1~3割で利用できます。
介護の認定は、介護認定の申請を行い、必要な手順を踏むことで、およそ1か月で認定されます。
介護サービスを受けるには必要な認定なので、できるだけ早めに受けておくことをオススメします。
介護は計画的に行うものです。しかし、突発的な事が起きる可能性が高く、精神的に圧迫されがちなので、先々を見越して対応していただきたいです。
最後まで見ていただけると、介護認定の手順や要点がわかると思います。
介護保険の認定が必要な理由
厳密には介護認定を受けていなくても介護サービスを受けることができる場合があります。しかし、介護保険サービス事業所は介護認定を受けられていない状態だとサービス提供をお断りする場合があります。

理由として、提供するサービスによっては、かなり高額な費用請求をすることになりますので、支払いの滞りや苦情に繋がる可能性がある為です。
また、介護保険外のサービスとして事業運営をするという規定を設けていなければなりません。
申請から認定までの流れ
おおまかな流れとしては
①申請を行う
②認定調査を受ける
③認定の審査が行われる
④要介護認定を受ける
このような流れで進みます。緊急的に申し込まれる方が多いのですが、時間がかかりますので、できるだけ早い申請をオススメします。
介護認定の申請対象者
対象となる方は以下の2つに該当している場合となります。
- 介護保険制度の対象者は、65歳以上の方
- 40歳~64歳の特定疾病の診断を受けている方
- 39歳以下の方は介護保険対象外となります。
介護保険料の支払い義務が発生するのが40歳からなので分かりやすいですね。
特定疾病
・末期がん
・筋萎縮性側索硬化症
・後縦靭帯骨化症
・骨折を伴う骨粗しょう症
・多系統萎縮症
・初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症など)
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症(ウェルナー症候群など)
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
・脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
・閉塞性動脈硬化症
・関節リウマチ
・慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)
・両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護認定の申請方法
ここからは申請方法について順をおって説明していきます。
申請する場所
介護認定を受ける方が住んでいる市町村区の役所で申請を行います。申請には介護認定の申請用紙に必要事項を記載し提出します。
申請用紙は役所のホームページなどでダウンロードが可能なので、自宅で先に記入しておくと良いです。
近くに役所がない・行けない場合は、近くの地域包括支援センターで相談すると代行やアドバイスを頂くことができますので、活用してみましょう。
申請に必要なもの
●要介護認定申請書
●介護保険被保険者証
●個人番号(マイナンバー)と身分証明書
「要介護認定申請書」は前述した通り、申請窓口やホームページから入手できます。
「介護保険被保険者証」は65歳の誕生日を迎える前に、役所から郵送されます。すぐに使わない場合でもしっかりと保管しておきましょう。
「個人番号」は地域により必要ではない場合もありますので、事前に確認しておくと良いです。
本人が申請できないとき
基本的には本人が申請することが望ましいですが、多くの場合本人が申請できない状況で家族や福祉関係者による代行申請がほとんどです。
家族が対応できない時は地域包括支援センターや居宅介護支援事業所(ケアマネジャーの事業所)が行うことがあります。
要介護認定の認定調査
申請後は認定調査員による訪問調査が行われます。全国統一の認定項目に沿って、認定を受けたい方の身体状況・精神状況・認知症状・社会性などの確認が行われます。
介護認定を高くしたいなどの理由で虚偽の返答される人がいますが、信頼を失いますので正確に現状を確認してもらってください。
介護認定を受ける方は、できないことも羞恥心から「できる」と返答してしまうことがありますので、立ち合いできるなら普段の状況や困り事などを全て調査員に伝えましょう。
調査員も人間なので、言ってもらわないと分からないことは多々あります。
主治医意見書
かかりつけ医による医療の観点からの意見が必要になります。申請書にかかりつけ医を記入しておくことで、役所からかかりつけ医に依頼を出してもらえるので、直接医師に依頼することはありません。
直接依頼しないということなので、普段から困っていることなどはしっかり伝えておきましょう。
認定審査
認定審査は2段階で行われます。まず認定調査で把握した内容をコンピューターにより判断します。これを「一次審査」と言います。
一次審査は認定調査内容がわかっているのであれば一般の方でもシミュレーション診断をネット上で行うことができます。
しかし、あくまでもシミュレーションなので実際の認定結果と異なることはありますので注意してください。
次に認定審査会という「二次審査」があります。主治医の意見書に記載された内容や認定調査で確認された特記事項など、コンピューターで判断できない部分を選任されたメンバーで判断し介護認定が決定します。
審査結果
審査結果は自宅に郵送されます。途中経過などの都度報告はありませんので、急いでいる場合は歯がゆい時期です。
どうしても経過を確認したい場合は、役所などで相談してみましょう。ルール上、認定結果は教えてもらうことはできませんが、「〇月〇日に審査会があります」という風にだいたいの日程を教えてもらえることがあります。
介護認定申請まとめ
申請方法を説明してきましたが、手順としては結構めんどうかもしれません。急に介護が必要になったタイミングでの手続きとなると、精神的なストレスが加わりなおさら手間に感じるでしょう。
また、認定を受ける方からすると、介護認定を受けるという経過は、高齢者や弱者といったレッテルを付けられてしまうという感覚を持っています。その辺りのメンタルケアも必要なので、余裕を持って計画的に対応していきましょう。
介護認定を受けるということは「介護を必要としている弱い人」ではなく、「介護保険サービスを受ける資格を持つ」ということで、その後のサービスを受けるかどうかは別の話です。
認定を受ける方にはしっかりと理解していただき、気持ちよく上手く介護サービスを活用していただきたいと思います。