スマートエイジングケア:テクノロジーが支える快適な高齢生活

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「年を重ねても、自分らしく、いきいきと過ごしたい」
「遠くに住む親のことが気になるけど、毎日会いに行くのはなかなか難しい…」

平均寿命がぐんぐん伸びて「人生100年時代」と言われるようになった今、ただ長生きするだけでなく、毎日をいかに心地よく、充実して過ごすかが、私たちみんなにとって大切なテーマになっています。

いま注目されているのが、テクノロジーの力を借りて高齢期の暮らしをより豊かにするスマートエイジングという考え方です。

そこでこの記事では、スマートエイジングがもたらしてくれるメリットや、普段の生活の中で気軽に試せるテクノロジーの例、上手にテクノロジーを暮らしに取り入れるためのヒントを紹介していきます。

なぜ今、スマートエイジングが大切なのか

日本は、世界のどこにも類を見ないほどの速さで、高齢化が進んでいます。医療の進歩でみんなが長生きできるようになった、というとても嬉しい流れである反面、社会全体で高齢の方々を支えていかなければならないという大きな課題も生み出しています。

こうした様々な課題に対して、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボットといったテクノロジーが、解決のヒントを与えてくれる可能性を秘めています。テクノロジーを活用することで、介護の現場を優しくサポートし、遠く離れた場所からでも見守ることが可能です。毎日の健康状態の記録・分析を通して、高齢者ご自身の「生活の質」を向上させ、ご家族の負担を軽減してくれる、新しい未来がやって来ました。

スマートエイジングを支える、暮らしに寄り添うテクノロジーの具体例

では、具体的にどんなテクノロジーが、高齢者の皆さんの心地よい暮らしを支えてくれているのでしょうか。いくつかご紹介しますね。

年を重ねるにつれて、毎日の健康管理や、もしもの時の安否確認はとても大切になります。

スマートウォッチや活動量計など身につけるタイプの健康アイテムです。心拍数や睡眠のリズム、一日の活動量などをいつも記録してくれます。体のちょっとした変化にも気づきやすくなり、もしもの時にはご家族や医療機関に自動でお知らせしてくれる機能にも注目が集まっています。

離れて暮らす親御さんのために、お部屋に置くセンサーもあります。人感センサーで室内の動きを察知したり、電化製品の使われ方から毎日の生活リズムを把握したりすることで、普段と違うことがあればご家族にお知らせしてくれます。プライバシーに配慮して、カメラを使わないタイプも増えているので安心です。

飲むお薬の管理は、高齢の方にとってなかなか大変なことです。決まった時間になるとお薬を飲むように促してくれたり、自動でお薬を準備して取り出し口に出してくれたりするロボットや、お薬の時間を知らせてくれるスマートフォンのアプリなども登場しています。

寂しさを感じさせず、社会とのつながりを保ち続けることも、スマートエイジングの大切なポイントです。

文字が大きく表示され、シンプルな操作画面が特徴の高齢者向けのタブレットやスマートフォンが増えてきました。ビデオ通話を使えば、離れて暮らすご家族や友人と、まるで隣にいるように顔を見ながらおしゃべりができます。

声に出して話しかけるだけで、今日の天気を聞いたり、ニュースを読み上げてもらったり、好きな音楽を流してもらったりできるAIスピーカーは、操作がとっても簡単で、高齢の方でも気軽に使える道具です。ご家族からのメッセージを読み上げてくれる機能があるものもあり、普段のコミュニケーションをより豊かにしてくれます。

共通の趣味を持つ人たちと交流したり、新しいことを学ぶ機会をオンラインで提供するサービスも増えています。お家にいながらにして、様々な活動に参加したり、新しい仲間と出会ったりすることで、毎日の生活にわくわくする気持ちが生まれてきます。

毎日の暮らしの中での「ちょっと困ったな」を解決し、ご自身でできることを増やして、自立した生活をサポートしてくれるテクノロジーも進化しています。

自動運転の技術が搭載されたゆっくり走る乗り物や、高齢の方でも安心して運転できる電動カートなどが開発されています。これらは、ちょっとしたお出かけの足として、外出の機会を増やし、行動範囲を広げるのに役立ちます。

声で操作して照明をつけたり、エアコンの温度を調節したりできるスマート家電は、体の動きが少し不自由になった方々にとって、とても大きな助けとなります。転んでしまうリスクを減らし、お家での安全性を高めることにもつながりますね。

介護をする方の体への負担を軽くするためのアシストスーツや、移動をサポートするロボット、排泄を補助してくれる機器などが開発され、介護の現場で活用が進んでいます。これによって、介護を受ける方々の尊厳も、より大切にされるようになります。

まとめ

超高齢社会において、テクノロジーは高齢の方々の生活の質を向上させ、ご家族の負担を自然な形で軽減してくれる、大きな可能性を秘めています。健康管理から日々のコミュニケーション、日常生活のちょっとしたお手伝いに至るまで、様々な分野で新しい技術が私たちの暮らしの中に広がり始めています。

スマートエイジングを通して、テクノロジーをかしこく暮らしに取り入れることで、高齢者ご自身がもっと主体的に、そして安心して毎日を過ごし、社会とのつながりを大切にし続ける、そんな「豊かで新しい生き方」を試してみましょう。

厚生労働省「我が国の人口について」
総務省「令和3年版 情報通信白書>デジタル活用支援」
大阪府「IoT/AI技術を活用した スマートエイジングケアの 取組み」
Panasonic「Smart Aging について – LIFELENS – 商品情報[法人]」