
老人ホームに入居しても、たばこやお酒を自由に楽しむことはできるのでしょうか。
喫煙人口が減っている今、老人ホームではどのような対応をしてもらえるのか気になる声も少なくありません。
そこでこの記事では、老人ホームにおける喫煙や飲酒、お菓子などの嗜好品の取り扱いについて、解説していきます。
目次
老人ホームによって喫煙できる場合がある

老人ホームの中には、喫煙可能なところもあります。しかし、どこでも自由に喫煙できるわけではありません。
基本的に居室や共有スペースを含めて施設の建物内は禁煙です。一部、屋外に喫煙スペースを設置して、その場所でならたばこが吸える施設が存在します。
社会的に禁煙社会を推進してきた日本では、公共の場で喫煙できるケースは少なくなりました。とくに老人ホームでは健康や防火の問題もあるため、一日のたばこの本数を制限したり、ライターは職員が管理するなど、施設ごとにルールを設けた上で喫煙可能な場合が大半です。
法律によって完全禁煙のケースも

社会の喫煙ルールを定める「健康増進法」によって、2019年7月1日から老健や介護医療院の敷地内は完全禁煙化されました。
また、特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では、個室に限って喫煙を認めている施設もあります。しかし、2020年4月1日施行の「改正健康増進法」により、多床室や共用スペースは原則禁煙となっています。
2018年に日本禁煙学会が発表した「京都府下の高齢者介護施設のタバコに関する実態調査」によると、療養を目的とした老健や療養病床の約6割は敷地内禁煙でした。建物内はもちろん、屋外でもたばこが吸えない完全禁煙化が進んでいます。
一方で、ケアハウスや有料老人ホーム、サ高住など生活を目的とした施設の約3割は喫煙が可能です。
このように、老人ホームの場合、医療が受けられる施設は健康問題のため禁煙になっていますが、居住系施設では建物内は禁煙、敷地内は施設によって喫煙場所のみ喫煙できる場合が少なくない状況といえます。
飲酒はルールに従って楽しめる施設が多い

老人ホームの飲酒はたばこのように法律で制限はされていません。
ただし、過度な飲酒は健康を害する恐れがあるため、飲酒ができる施設でも1日あたりの量や飲む時間帯などルールを定めている場合が一般的です。
健康管理も老人ホームが提供する大切なサービスのひとつです。健康や治療の上からも問題がなく、適度な飲酒なら認められる方に限ってお酒も楽しめます。
したがって、適度な晩酌程度なら可能ですが、休日は明るいうちからお酒を飲む、お酒が好きで飲む量が多い、といった方は、施設が定めた飲酒のルールを確認しておく必要があるでしょう。
おやつ類や飲み物は自由に持ち込みできる

お菓子やジュースなど、食べ物については居室に持ち込んで楽しめる施設が大半です。
ただし、塩分や糖分など食事制限を受けている方は、食べ物の持ち込みができない、食べたい場合は施設側が預かって管理をする、といったケースが多いようです。
老人ホームは栄養バランスや塩分制限などを配慮した食事を提供しています。そのため、健康状態に影響がないように施設によって食べ物の持ち込みに関するルールを定めている場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
老人ホームでたばこやお酒などを楽しむために
全国的に喫煙や飲酒、食べ物の持ち込みができる老人ホームはありますが、施設側がルールを設けている場合がほとんどです。
入居後も嗜好品を楽しみたいときは、以下の2つの点に気をつけましょう。
(1)施設選びの際に喫煙や飲酒の条件も入れておく

自宅と同じようにたばこやお酒を楽しみたい場合は、入居を考えている老人ホームの嗜好品に関するルールを確認しておきましょう。
「居室内のみ喫煙できる」「屋外なら喫煙場所がある」など、施設によって対応はさまざまです。
適度な飲酒は健康面での影響が少なく、リラックス効果があると言われているため比較的制限しない施設が多いようです。しかし、受動喫煙やにおいの問題もある喫煙は、制限の内容を把握した上で入居先を選ぶことが重要です。
(2)他の入居者にはあげない、勧めない

健康志向の高まりや持病の関係で、たばこやお酒を控える方が増えています。たとえ施設のルールに則って喫煙や飲酒をしていても、他の入居者に勧めるのはマナー違反です。
とくにお菓子やジュースといった食べ物の嗜好品の場合、入居者によっては食事制限で食べられないケースが少なくありません。また、食中毒のリスクもあるため、食べた相手がもし体調を崩したときはトラブルになってしまいます。
老人ホームはさまざまな方が一緒に暮らしている場です。飲酒やお酒、嗜好品は他の入居者に迷惑にならないように楽しみましょう。
まとめ

喫煙や飲酒、嗜好品は老人ホームによって取り扱いや対応が異なります。喫煙ができる老人ホームは全国的に見ると存在するものの、制限している施設が多いです。
また、お酒やお菓子類は、たばこほど厳しくはありませんが、施設のルールや他の入居者に配慮して楽しむことが大切です。
日頃から喫煙や飲酒の習慣がある方は、入居先のルールや制限内容を確認しながら老人ホームを選びましょう。
▼参考URL
健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号) 概要|厚生労働省