ペットと暮らせる老人ホームがあるってホント?

老人ホームについて  | 

ペットは「家族の一員」と呼ばれることも多くなった今、「老人ホームで愛犬や愛猫と一緒に暮らしたい」といった声をよく聞きます。

大切なペットと同伴して入居できる老人ホームはあるのでしょうか?

そこでこの記事では、ペットと暮らせる老人ホームの現状と入居する際のポイントについて解説します。

ペットと暮らせる老人ホームは増加傾向にある

犬や猫などペットと入居できる老人ホームが注目されています。

「大切な動物と一生暮らしたい」といった高齢者のニーズは現代のペット事情を考えればとても自然な話です。

また、動物との触れ合いを通して、癒し効果を入居者に与える目的で施設がペットを飼育しているところもあります。

日常的にペットと触れ合う生活を送る高齢者ほど、心身機能や運動機能の維持や改善、精神的なリラクゼーション効果があるとわかっており、積極的にアニマルセラピーを取り入れる老人ホームも少なくありません。

⽼⼈ホーム検索サイト「みんなの介護」のレポートによると、「ペットと暮らせる(ペット・犬・猫可)」の老人ホーム数は年々増えています。「みんなの介護」の掲載施設数を対象とした調査では、2020年には前年比24件だったペット入居可の老人ホームは、2021年には42件増、2022年は8月時点ですでに146施設が増加。(【みんなの介護】人生の大切なパートナー・ペットと暮らせる老人ホーム全国調査<2022年版>より)

東京都や神奈川県、大阪府など都市部を中心に、ペットと暮らせる老人ホームは着実に増えているのです。

ペットと入居できる老人ホームのメリット・デメリット

ペットと暮らせる老人ホームには次のようなメリットやデメリットがあります。

メリット
● 一緒に暮らしてきたペットと生活できる
● リハビリや情緒の安定に役立つ
● QOL(生活の質)の維持や向上につながる

デメリット
● ペットを飼育しない入居者からの理解が難しい
● ペットの世話に責任が伴う
● 施設や職員が対応してくれるかは施設によって異なる

とくにデメリットの3番目「施設や職員が対応してくれるかは施設によって異なる」点については、ペット可老人ホームの課題となっています。

具体的にひとつずつ見ていきましょう。

ペットと入居できる老人ホームのメリット

ペットと一緒に入居できる老人ホームには、以下のメリットがあります。

一緒に暮らしてきたペットと生活できる

長年暮らしを共にしてきたペットがいれば、愛するペットと離れる心配がありません。施設への入居をきっかけに、ペットと離ればなれになってしまう寂しさは、家族の一員として暮らす高齢者にとって想像以上のものです。

愛犬や愛猫を自分の手元でそのまま育てることができます。

リハビリや情緒の安定に役立つ

ペットの散歩は、歩行訓練や外出するモチベーションを高めるのに効果的です。動物を撫でたり、話しかけたりする行動によって、認知機能の維持・改善に役立ちます。

また、アニマルセラピーの研究では、動物のそばで過ごすと人はリラックスして気持ちに安心感が生まれることがわかっています。認知症や老人性うつといった入居者のメンタルケアとしても効果が期待できるでしょう。

QOL(生活の質)の維持や向上につながる

ペットを世話する責任感は生活に程よい緊張感をもたらすため、QOLの維持や向上にもつながります。

「終の棲家」として入居できる老人ホームであれば、ペットとともに入居者は人生の最期を迎えられます。動物が人生の後半に彩りを添える大切な存在になるのです。

ペットと入居できる老人ホームのデメリット

メリットがある反面、次のようなデメリットも考えられます。

ペットを飼育しない入居者からの理解が難しい

動物が苦手、動物アレルギーがある、といった他の入居者にとって、施設内にペットがいること自体、嫌がられる可能性があります。

鳴き声がうるさい、トイレのにおいが気になる、などをきっかけに入居者同士でトラブルが発生する場合もあるでしょう。

ペットと入居する場合は、しつけを十分に行って、必要以上に吠えない、トイレトレーニングを受けさせるなどの配慮が大切です。

ペットの世話に責任が伴う

生き物であるペットを飼う以上、毎日のえさやりや散歩、動物が病気になったときの対応など、ペットが亡くなるまできちんと世話をしなければなりません。

施設によってはドッグランや足の洗い場、シャワースペースなど、ペットのための設備が充実しているところもあるので、確認しておきましょう。

施設や職員が対応してくれるかは施設によって異なる

万一、入居者が病気やケガで世話ができなくなった場合、施設や職員が代わりに世話をしてくれるかどうかはケースバイケースです。

日帰りや一泊程度の外泊なら対応できる施設もあれば、外部のペットホテルやペットシッターなどを利用しなければならない場合もあるので、入居前に職員の対応について確認しておくことが大切です。

まとめ

ペットと一緒に暮らせる老人ホームは年々増加傾向にあります。愛する動物と一緒に暮らしたいと考えている方は、施設でペットが飼えるかどうか確認しておきましょう。

また、施設によってはアニマルセラピーなどQOL(生活の質)のため老人ホーム自体が動物を飼育している場合もあります。

大切な家族の一員として愛されるペットと暮らせる老人ホームは、今後もますます増えていくことでしょう。

▼参考URL

【みんなの介護】人生の大切なパートナー・ペットと暮らせる老人ホーム全国調査(2022年版)|株式会社クーリエのプレスリリース

【Q&A】ペットと暮らせる老人ホームとは?特徴や選ぶ際のポイントを解説|みんなの介護

【住まいと暮らし】全国でも珍しい!ペットと暮らせる特別養護老人ホーム|特別養護老人ホーム さくらの里山科の取材レポート|LIFULL介護(旧HOME’S介護)