有料老人ホームでのオムツ事情(後編) 紙オムツ代はいくらかかる?

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有料老人ホームでの、オムツ事情が知りたいと思っていませんか?

前編・後編2回にわたって、有料老人ホームでのオムツの費用を中心に、種類の説明、安く抑える方法などを解説しています。

後編は、例を挙げてオムツ代のシミュレーションをして実際の費用はどのくらいか、また費用を節約する方法はあるのかなどを解説いたします。費用がかさむオムツ代を抑えるには、適切に使うことと、スタッフとの良好な関係性がポイントです。

オムツ代のシミュレーションを公開

オムツ代は入居者の性格・身体の状態・施設の排泄介助の回数によって変わります。
現実はさまざまな要因が重なるため一概には言えませんが、オムツ代の事例をご紹介します。

ケース1 男性・80歳・要介護1

前提条件
・終日パンツタイプ+パッドを使用
・パンツタイプは1枚あたり85円
・パッドは一枚あたり21円(軽い尿もれ向け)
・自分でもトイレに行くし、施設のスタッフがトイレ誘導をして、パッド交換を行う
・スタッフの排泄介助介入は1日5回
・清潔を保ちたいという気持ちは強くある方
・パンツタイプのオムツは汚れていなくても、清潔保持のために1枚/1日交換する
・便失禁はなし

1カ月のパンツタイプの費用
85円✕1枚(1日/1枚)✕30日=2,550円

1カ月のパッドの費用
21円✕10枚(1日/10枚)✕30日=6,300円

2,550+6,300=1カ月あたり8,850円

ケース2 女性・90歳・要介護5  

前提条件
・終日テープ止めタイプ+パッドを使用
・テープ止めタイプは1枚あたり85円
・パッドは一枚あたり32円(約4回分吸収)
・おしり拭きは1つあたり300円(1週間分)
・ベッド上での生活が多く、一人では動けない
・スタッフの排泄介助介入は1日5回
・尿意・便意はなく、スタッフが定時でオムツ交換を行う
・テープ止めタイプのオムツは汚れていなくても、清潔保持のために1枚/1日交換する
・時々、便汚染があり、オムツを多く使うことがある

1カ月のテープ止めタイプの費用
85円✕1枚(1日/1枚)✕30日=2,550円

1カ月のパッドの費用
32円✕5枚(1日/5枚)✕30日=4,800円

おしり拭きの費用
300円✕4(1カ月分)=1,200円

週に2回便汚染があり、都度テープ止めタイプとパッドを交換
(85円+32円)✕2(2回/週)✕4(1カ月分)=936円

2,550+4,800+1,200+936=1カ月あたり9,486円

このように介護度が高くなると、おしり拭きが必要だったり、吸収量の多いパッドにしたりするため、費用は高くなりがちです。

ただ、あくまで1つの事例であり、オムツ代には個別性があるため、はっきりとは言い切れません。

オムツ費用を抑えたい!意識すべきポイント

毎日の積み重ねでかさむオムツ費用を、出来る限り抑えたいですよね。その場合以下のポイントを参考にしてみてください。

リハビリを重視している施設を選ぶ

施設の中には「入居者を元気にする」ことに、力を注いでいるところもあります。往々にして、元気になるには「排泄を自立する」が、テーマに掲げられることがあるのです。

このような施設なら、入居者への声掛けを頻繁にしたり、排尿に関わる筋肉の筋力アップを図ったりして、結果的にオムツ費用が少なくなる可能性があります。リハビリ重視の施設を検討してみても良いでしょう。

スタッフと良好な関係を築く

意外に思うかもしれませんが、オムツ代を抑えたいなら、現場のスタッフと良好な関係を築くことも効果的です。

なぜなら、ご家族とスタッフとがコミュニケーションを取ることで、スタッフの余計な気遣いを避けることが出来るからです。

例えば「Aさんは尿量が多いから、大きなパッドにしたい」とスタッフが思って提案したいと思っていても、ご家族から、「お金が余計に掛かかるのでは?」と言われたらどうしよう…。などと考えてしまいお伝えできずにいるとします(現実は、このような心理状態になるスタッフが多いものです)。

オムツのサイズが小さければ、オムツや衣類が尿や便の漏れで、頻繁に汚染してしまうこともありますので、オムツ関連の費用はかさんでしまいます。つまり、オムツ代を安くするどころか、費用が増える可能性があるのです。 このようなことを防ぐためにも、ご家族とスタッフが信頼関係を築くことはとても大切です。

オムツ・パッドの費用負担サービスを自治体に確認する

規定の状態の入居者に対しては、各自治体が「オムツの現物支給か助成金の支給」を行っているところがあります。

助成金の場合だと、5,000円程度の支給が多くなります。

各自治体により詳細が違うため、確認が必要です。

まとめ

前編・後編2回にわたって老人ホームで必要なオムツ事情について解説しました。

まとめると、

・紙オムツは入居者が自分らしく生活するためには必要
・紙オムツの種類を理解する
・オムツ代の相場は人と環境により幅があり一概に言えない
・オムツの購入先は安さと手間のバランスで決める
・オムツ費用を抑えたいなら「リハビリとスタッフとのコミュニケーション」が大切

布を使用していた昔と違い、現在はポリマーが尿を吸収してくれるため、入居者の「尊厳や羞恥心」を守りやすくなっています。

尿もれや尿失禁の可能性がある方には、必要不可欠とも言えるのがオムツです。
お金は掛かりますが、ポイントを理解して、スタッフとの良好な関係を築くことで、なるべく費用を抑えることができます。

正しい知識を持って、老人ホーム入居後も快適な生活をおくりたいですね。

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