
近頃ニュースなどで耳にする機会が増えている「SDGs」をご存知でしょうか?
国際社会全体で取り組むべき「持続可能な開発目標」のことで、日本でも企業や自治体などで、SDGs達成に向けての取り組みが始まっています。今回は、SDGsとは何か? なぜ今注目されているのか? についてわかりやすく解説します。
目次
1.「SDGs」はどう読むの?
「SDGs」は、アルファベットをそのままつなげて、「エス・ディー・ジーズ」と読みます。
「Sustainable Development Goals」という英語を略したもので、日本語では「持続可能な開発目標」と言っています。
2.「SDGs」って何?

「SDGs」とは、2015年の国連サミットで採択された国際社会全体で取り組む目標で、2030年のあるべき姿として17のゴールが設けられています。
国連に加盟しているすべての国が取り組みの当事者になるわけですが、この課題は単に政府だけで進めていけるものではありません。企業や自治体、教育機関、NPOなどの団体、そして個人までもが目標を共有し、それぞれの立場から取り組んでいくことが求められています。
3.「持続可能(サステナブル)」の意味は?

「持続可能(サステナブル)」とは、将来にわたって地球環境が維持されることを意味しています。たとえば、やがて枯渇する石油燃料を使って二酸化炭素排出で地球にダメージを与えているガソリン車を減らし、他のエネルギーで走る車(電気自動車など)を推進することが一例です。
環境に関わることだけでなく、「持続可能」という言葉は、多岐にわたる分野で使われます。「持続可能な企業」とは、単に好業績を上げている企業ではありません。
①環境に配慮した企業活動を行っていること
②その企業の商品・サービスが消費者にとって継続的に購入したいものであること
③従業員にとってもずっと働きたい職場であること
などの要件が満たされて、はじめて「持続可能な企業」といえるのです。
つまり、「持続可能」という言葉が意味するものは多様で幅広いと考えていただければ、理解しやすいのではないでしょうか。
4.「持続可能な開発目標」の内容
「持続可能な開発目標」として設けられた17のゴールとは具体的にどんな内容なのか、気になりますよね。国連では、1~17まで番号を付けて紹介しています。

SDGs1~6は、人間にとって最も基本的な人権や生活水準に関連する6項目。
1.貧困をなくそう/ 2.飢餓をゼロに/ 3.すべての人に健康と福祉を/ 4.質の高い教育をみんなに/ 5.ジェンダー平等を実現しよう/ 6.安全な水とトイレを世界中に
主に途上国の課題と考えられがちかもしれませんが、日本にも貧困やジェンダー不平等などの問題があることを忘れてはなりません。先進国も含めてすべての国が取り組むべき目標といえます。
SDGs7~12は、経済的・社会的な豊かさに関する項目です。
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに/ 8.働きがいも経済成長も/ 9.産業と技術革新の基盤をつくろう/ 10.人や国の不平等をなくそう/ 11.住み続けられるまちづくりを/ 12.つくる責任 つかう責任
働く人にとっても地球環境にとっても望ましい新しい経済活動のあり方を探る内容になっています。先進国も途上国もそれぞれの状況に応じて取り組むべき目標といえます。
SDGs13~15は、地球環境に対するさらに踏み込んだアクションを挙げています。
13.気候変動に具体的な対策を/ 14/海の豊かさを守ろう/ 15.陸の豊かさも守ろう
SDGs16と17は、すべてのゴールを達成するために欠かせない「公正さ」と「パートナーシップ」を明記しています。
16.平和と公正をすべての人に/ 17.パートナーシップで目標を達成しよう
5.「SDGs」が注目される背景は?
以上みてきた「SDGs」がいま注目され、話題になっているのはなぜなのか? ちょっと背景を考えてみましょう。

まず、世界が共有する地球環境に対する危機意識の高まりがあります。
二酸化炭素排出量の増加による温暖化の進行、異常気象や自然災害の激増、森林地帯の砂漠化や水不足問題など、地球の問題は山積しています。不足する食糧や資源を巡って争いが激化する可能性もあり、解決策を見つけようと、世界の多くの人が気づき始めたのです。
第二に、先進国にも途上国にも共通する取り組みやすい目標設定がなされている点が挙げられます。
17のゴールを表現するカラーロゴのデザインが一目でわかるように工夫されており、認知度がより加速化されたのではないでしょうか。

第三に、ビジネスチャンスとしての重要性が認知されたことがあるでしょう。
「SDGs」が描き出す方向性はビジネスの指針としても重視されて、経営やマーケティングにおいて無視できないものになりつつあります。「SDGs」の目標にかなうマーケットは益々拡大し、消費者にとっても選択の幅が広がることが期待できそうです。
6. 私たちが個人単位でできることは?
「SDGs」の達成は、世界を変えるための壮大な目標です。世界が力を合わせる必要性はよくわかりますが、私たちが個人単位でできることは何かあるのでしょうか?

国連広報センターのサイトで、面白いリストを見つけました。その名も「持続可能な社会のためにナマケモノにもできるアクション・ガイド」です。
そのガイドによれば、
「レベル1=ソファに寝たままできること」として挙げられているのは、
・女性の権利や気候変動についてソーシャルメディアで面白い投稿を見つけたら、ネットワークの友達にシェアしよう!
・請求書の支払いはオンラインで済ませて、紙を節約しよう!
という具合。
「レベル2=家にいてもできること」では、
・生鮮食品が食べきれない時は早めに冷凍!
・窓やドアの隙間をふさいでエネルギー効率を高めよう!
・堆肥を作ろう!
「レベル3=家の外でできること」では、
・買い物は地元で!
・マイバッグを持参しよう!
・使わないものは寄付しよう!
などなど・・・。既にやっている方も多いかもしれませんが、これならば、誰もが取り組みに参加できそうですね。
興味のある方は、国連広報センターのサイト(持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド(改訂版) | 国連広報センター (unic.or.jp))をご覧ください。
7. まとめ

世界のSDGs達成度ランキングというのが発表されています。それによると、2021年、上位を占めているのはフィンランド、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギ―など欧州諸国。日本は165か国中18位でした。
6. の項でみてきたように、世界を変えるために、一人ひとりが日常生活の中で簡単にできることは、意外にたくさんあることがおわかりになったでしょう。
世界を変えるのは、まずあなたの一歩からです。私たち皆が実践すれば、世界は大きく変わっていくに違いありません。
「SDGs」についてもっと詳しく知りたい方は、外務省のHP(JAPAN SDGs Action Platform | 外務省 (mofa.go.jp))が参考になりますよ。