
老人ホームに入居するには高額な費用が必要となる場合があります。そして「入居金(あるいは入居一時金)」といわれる費用について耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
今回は、老人ホームに入居する際に必要となる入居費用について分かりやすく解説します。
有料老人ホームにかかる費用と入居金(入居一時金)とは?

老人ホームに入居する場合、「入居金」が必要な施設があります。
例えば、介護付き有料老人ホームは入居一時金を支払うプランを設けている場合が多くあります。
入居金といわれてピンとこないかもしれませんが、家賃相当額などを一括で前払いしたものです。
つまり、月々の入居費用を抑えるために、最初にある程度まとまった金額の支払いをして、毎月の費用に充てるために預けておくお金が「入居金」です。
入居金はかなり高額で、支払うことに不安を感じるかもしれません。不安を感じる理由は、「どのような内容に使われているのか分からないから」という方も多くいらっしゃいます。
そこで、まずは入居金について「どんな内容で使われているのか」について説明したいと思います。
有料老人ホームの入居金の内容について

入居期間中は、家賃・食事代・管理費・水道光熱費・介護サービス費・日用品費などの費用が必要になります。これらの費用の一部を、まとめて入居金として一旦預かり、預かった費用を毎月の月額利用料に充てていくという考えですと、わりとしっくりとします。
当然、毎月の利用料金は入居金を支払わない場合よりも安くなります。
老人ホームへ支払った入居金は、入居に必要な費用すべてに充てることができるわけではありません。入居金として受け取れる名目は決められており、受け取れる名目以外の費用として入居金から支払うことができません。
老人ホームが受け取れる名目は以下の通りです。
・家賃前払い(これがほとんど)
・介護の提供費用(保険外サービス)
・食事費用
・日常生活必要なものへの費用
「介護保険自己負担分」は、入居金として受け取ることができません。
入居金を必要とする入居の場合には、提示された金額を入居金とする理由となる内訳(算定基礎)を入居契約書や重要事項説明書などに明記する必要があります。
この他に銀行の債務保証や前払い金の保全措置を講じることも定められています。
高額な入居金を支払った後に何らかの理由によって退居した場合にも、入居者が不利益とならないような制度があるので安心です。
有料老人ホームの入居金は返還などあるのか?

入居金を支払って老人ホームに入居した場合、亡くなったり退居したりした時には返還などあるのでしょうか?
入居金は毎月の家賃などに充てられることになっているので、想定入居期間(5年間のところが多いです)を越えて入居している場合は入居金の返却はありません。しかし、想定入居期間前に退去をする場合には、残りの金額を返金してもらうことが可能です。
例えば、償却期間(入居金がすべて支払いに使われてしまう年数)が5年の場合、3年目途中で退居した場合には「未償却残高」が返金されます。償却金額や退去時の返金金額については、老人ホームごとに異なりますので、入居前の契約時に確認をしておく必要があるでしょう。
よくあるケースとしては、初期償却が30%ある場合です。入居金から最初の段階で30%が引かれます。なので残りの70%に対しての未償却残高が返金されます。
入居金の返還についてはこちらの記事も参考にどうぞ。
入居したホームに万が一のことがあっても、銀行等との連帯保証委託契約などの保全措置が行われているので、未償却の支払いがされないなどということはありません。入居を考えている老人ホームがきちんと保全措置されているか確認をしておきましょう。
入居金プランのあるなしで何が異なるのか?

以前は、老人ホームに入居の時には入居金が必ず必要でした。現在は老人ホームごとによって異なり、入居金なしのプランのある施設も増えています。
入居金を必要としないからといって、その分の費用が安くなっているわけではなく、毎月必要な費用などは変わりません。入居金とは毎月の支払の一部を先にまとめて払った前家賃のようなものです。入居金なしの場合には前家賃を支払っていないので、入居金を支払っている人よりも毎月高い費用を支払うことになります。
入居金を払った方が毎月の費用が安くなるということになりますが、入居金があるなしで施設の入居者への対応が異なるということはもちろんありません。
結果的には支払う金額は同じなので、それぞれの家庭の事情に合わせてプランを選ぶようにしましょう。
まとめ

老人ホームの入居金についての解説はいかがだったでしょうか。
老人ホームに入居する際に必要となる入居費用は、高額な入居金や毎月の支払いなど不透明だと不安になりますね。
老人ホームへの入居を決める際に入居金をポイントにする方も多いかもしれませんが、入居金とは毎月の費用の支払いを安く抑える方法の1つでもあるのです。入居金の考え方と退去時の返却などについて知ることで、入居金は高額で不安なものいうイメージも変わったでしょうか?
老人ホームごとに入居金や償却などの仕組みは異なりますので、入居前に確認をしてしっかりと理解していただきたいと思います。
【ご覧になった方へおすすめの記事はこちら】