エンディングノートは
なるべく若いうちに書こう!

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エンディングノートには法的な効力はありません。
書き方の決まりもありません。
だから気楽に何でも書けばいいのです。
自分が今まで生きてきた人生をふり返って思い出を書くのもよし、愛するパートナーや子どもたちへ伝えたいことを書き残すもよし、何でもありなのです。

50代や60代でエンディングノートを書くのはまだ早いと思われるかもしれませんが、寿命と年齢は関係ありません。
突然自分の身にもしものことがあって、遺された家族がパニックになるとしたら、申し訳なくて、おちおちと天国へも旅立てません。
エンディングノートを早くから書いておくのは、縁起が悪いものでもなんでもなく、先立つ者の義務とも言えます。

エンディングノートには具体的にどんなことを書けばいいの?

形式にこだわらず、かしこまって文章を書こうと思わず、遺された家族に伝えておきたいことを淡々と書きます。事務的なことを羅列するだけでも、りっぱなエンディングノートなので、参考にして下さい。

エンディングノートに書いておきたい事務的なこと

・預貯金口座について銀行、支店名、口座番号を明記しておく
・貸金庫を使っている場合は、銀行、支店名、鍵の場所を明らかにしておく
・投資信託や債券などは販売会社、口座番号を明記しておく
・生命保険については保険会社名、証券番号を明記しておく
・土地建物などの不動産は、不動産の所在、権利書の保管場所を明らかにしておく
・インターネットなどの有料サービスについては、サービス名、会員ID、パスワードを明らかにしておく
・自転車、二輪車、船舶などを所有している場合は、ナンバーや所在場所を明記しておく
・年金関係については、年金番号、年金証書の場所を明記する
・賃貸契約をしている物件に関しては、物件名、相手の氏名、管理会社の名前などを書いておく
・遺言書の有無について、ある場合は保管場所を明記しておく
・借金の有無について、ある場合は債権者名と債務額について明記しておく
・連帯保証契約などの保証契約がある場合は主債務者名と債権者名、および債務額などを記載しておく
・未認知の子どもがある場合は、連絡先を明記しておく

エンディングノートに書いておきたい私的なこと

・親族について簡単な系図と、もしもの時に連絡してほしい親族のリストを作成しておく
・もしもの時に連絡してほしい友人、知人のリストを作成しておく
・認知症や寝たきりになった場合の看病について自分の希望を書いておく
・延命治療や臓器提供、献体について希望があれば書いておく
・葬儀についての規模や行ってほしい場所を書いておく
・宗教や宗派、戒名について遺族に伝えておきたいことを書いておく
・お墓について書いておく

遺言書について

エンディングノートは覚書のようなものなので、財産分与などで法的な効力が発生しません。財産を巡って子どもや親族の争いを避ける意味でも、エンディングノートを書き終えたら、遺言書を書いておくことをおすすめします。

相続する際のトラブルになることが多い例

・不動産など分けにくい財産が多い。
・子どもがいない。
・おひとり様で法定相続人がいない。
・再婚している。
・事業を営んでいる。
・農業をしている。
・連帯保証人になっている。
・特定の相続人(例えば介護をしてくれた家族)に財産を多くあげたい。
・相続人以外(例えば嫁、婿、孫なそ)に財産をあげたい。
・財産を上げたくない人がいる。

上記に当てはまる人は遺言書を書いておくと、遺産を巡るトラブルを避けることができます。

遺言書の種類について

遺言書には自分で作成する「自筆証書遺言」と公証役場で作成してもらう「公正証書遺言」があります。

●自筆証書遺言
全文が自筆で書かれており、日付、住所、名前が自筆で記され、押印されていることが必要です。この遺言書を信用のおける人に託し、託された人は、この遺言書を家庭裁判所に提出します。

●公正証書遺言
遺言の内容を公証人に伝え、証書を作成してもらいます。
公証人は、裁判官、検察官、弁護士などの法務実務に30年以上かかわってきた人の仲から選ばれ、法務大臣が任命する公務員です。

●秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言者が遺言内容を誰にも知られたくないという場合に使われています。
作成した遺言書が秘密証書遺言であるということを、公証人と証人に確認してもらいます。

成年後見制度について

成年後見制度は、平成12年に介護保険制度とともにスタートしました。
この成年後見制度とは、認知症などで判断能力がなくなった本人に代わって、必要な契約を結んだり、財産を管理したりする制度で、ふたつの制度があります。

●法定後見制度
家庭裁判所によって選任された後見人が、判断能力が衰えた本人に代わって、財産や権利を守り法的に支援する制度です。

●任意後見制度
将来的に判断能力が低下した場合に備えて、任意後見人を選び、公正証書で任意後見契約を結んでおくものです。

ひとり世帯が増えるなかで人生の終盤に頼れるのは?

何か困った時に頼ることができるのは、身の回りの機関では、地域包括センター、市区町村役場などの自治体、社会福祉協議会、民生委員さんなどです。
元気なうちに上記の住所や電話番号などを調べてエンディングノートに書いておくと、連絡を取りたいときにすぐ対処できます。

また、専門家にアドバイスを求めたいときには、税理士、弁護士、司法書士、行政書士、終活アドバイザー、ファイナンシャルプランナーなどが適しています。こちらも普段からお付き合いがあれば連絡先をエンディングノートに書いておきます。
お付き合いがない場合はネットなどで調べて、住んでいるところの近くで評判の良い専門家をリストアップしておきましょう。

まとめ

生涯独身の人が増える中で、たとえ結婚したとしても、離婚に至るケースも年々増えています。2040年には約4割が単身世帯になると予想されています。
エンディングノートを書くことをきっかけに、自分を見つめ直すことができます。
法律的なことを知ると、離婚や再婚した場合は、「財産分与のトラブルを避けるために早めに遺言書を作成しておこう」とか、おひとり様さまの場合は「成年後見制度を利用しよう」などと今後生きていくうえでのヒントが得られます。
まずはためらわずにエンディングノートを書いて人生の一区切りをつけ、気持ちを新たに第二、第三の人生を歩みましょう。