
ケアハウスとは、身寄りがない高齢者が、自宅では1人で生活するのが不安なときに入居できる公的施設です。介護サービスのうち食事や洗濯、掃除などの生活支援サービスを受けながら、共同で生活を送ります。緊急時の対応もあるので安心です。
身寄りがなかったり、家族や親戚から支援が受けられない一人暮らしの高齢者にとって、比較的リーズナブルに入居できるのがポイントとなっています。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)は一般型と介護型の2種類
軽費老人ホームには、A型、B型そしてケアハウス(軽費老人ホームC型)の3種類があります。2008年の制度改正以降、新設される軽費老人ホームはすべてケアハウス(C型)になっています。A型、B型は従来型の軽費老人ホームで、今後新設されることはありません。
この記事では、現在主流となっているケアハウス(軽費老人ホームC型)についてスポットを当てていきます。なお、ケアハウスには一般型と介護型に分かれます。
・一般型ケアハウス
独居生活に不安のある60歳以上の高齢者を対象にした施設です。一般型の特徴は、施設で介護の提供はありません。生活支援サービスや食事の提供、緊急時対応を中心に、入居者が日常生活を送るサポートのみを行います。
もし、要介護度が高くなく、介護サービスを受けながら生活できる場合は、外部の介護事業者のサービスを利用します。ただし、要介護3以上になると外部の介護サービスを使っても一般型ケアハウスでの生活は難しくなるため、退居するケースが一般的です。
入居費用の目安は、施設や所得状況によりますが初期費用で0円〜30万円前後、月額費用で6万円〜17万円前後必要です。
・介護型ケアハウス
一般型ケアハウスと違って、施設による介護サービスの提供があるのが特徴です。入居条件は、一人暮らしに不安のある高齢者かつ要介護度1以上であること。一般型ケアハウスで受けられる生活支援サービスはもちろん、入浴介助や食事介助、排泄介助といった身体介護、機能訓練や通院時の付き添い同行などの介護サービスが利用できます。
入居中に要介護度が高くなった方も住み続けられます。施設によっては看取り対応をしているところもあります。
入居費用の目安は、一般型ケアハウスと同様に、施設や所得状況によって異なります。初期費用は0円から高額な施設では1,000万円を超す場合も。しかし、月額費用は6万円〜17万円前後です。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)のメリット
ここからは、ケアハウス(軽費老人ホームC型)のメリットについて見ていきましょう。
①リーズナブル
ケアハウスは社会福祉法人や地方自治体が運営しているため、民間の介護施設に比べて比較的低価格で入居できます。ケアハウスの相場は月額6万円〜17万円前後。民間の介護付有料老人ホームなどが最低でも月額15万円〜20万円前後は見込んで置かなければならないことを考えると、リーズナブルで安心です。
しかも、ケアハウスは施設や所得状況で費用が異なります。低所得者ほど低料金で入居が可能なので、身寄りがない、近親者からの援助が期待できない高齢者にとって大きなメリットといえます。
②要介護度が高くなっても入居できる
ケアハウスのうち介護型は、施設自体が介護サービスを提供しています。そのため、要介護者でも入居可能です。しかも、万一入居中に要介護度が高くなったとき、他の施設に移ることなくそのまま介護サービスを受けながら利用できます。
介護施設の多くは、要介護度の状態の変化に応じて、退居を求められるところが少なくありません。ケアハウスは特養や介護付有料老人ホームと同様に、健康状態で施設を移る可能性が少ないのが利点です。
③プライバシーが確保できる
ケアハウスの居室は、原則個室です。高齢者向け施設によっては、今なお一部屋4人程度で利用する大部屋タイプもありますが、ストレスを感じる原因になります。
その点、ケアハウスは共同生活でありながら、個室が用意されているので、他人の視線を気にすることなく生活ができます。
④レクリエーションが充実している
ケアハウスは、施設が企画するレクリエーションが盛んに行われているところが多く、入居者同士の交流があります。簡単な運動遊びやクイズ、塗り絵や手芸、カラオケなど、レクリエーションを通して人とのつながりを持つとともに、脳や体に刺激を与えて老化防止にも役立ちます。ロビーや談話室のような共有スペースで歓談したり、ゲームを楽しんだりする姿も日常の光景です。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)のデメリット
一方で、ケアハウスには次のようなデメリットもあります。
①介護型は待機者が多く入居待ちが普通
ケアハウスは民間の高齢者向け施設に比べて低料金で入居できるため、人気が高く入居待ち状態のところも少なくありません。サービス付き高齢者向け住宅や介護付有料老人ホームより1ヶ月単位だったり、1年以上入居まで時間がかかることもあります。特別養護老人ホームのような待機期間ではないものの、他の選択肢も合わせて考えるのをおすすめします。
②一般型は要介護度によって退居が必要なことも
一般型は独居の高齢者の生活をサポートするのが主な目的です。したがって入居中に要介護度が大きく変わって手厚い介護サービスが必要になると、外部の介護事業者のサービスを使ってもそのまま入居するのが難しくなるケースが多くなります。一般型に入居するときは、自分の状態に応じて退居しなければならなくなるかもしれない点を心に留めておく必要があります。
ケアハウスに似た都市型軽費老人ホームとは
2010年に制度がスタートした都市型軽費老人ホームは、ケアハウスと同じ独居の高齢者向けの施設。ただし、都市部のような地価の高い地域に設立するため、居室面積や職員配置といった設置基準が緩和されています。定員は最大20名。職員は常勤の生活相談員1名と介護職員1名です。ケアハウスのほか介護施設の中ではスタッフ数が少ない分、介護サービスは外部の介護事業所と連携して提供する施設もあるなど、サービスの拡充に努めています。
まとめ
このように、ケアハウスは一般型と介護型で性格が異なります。介護型は低価格で手厚い介護サービスが受けられるのはもちろん、要介護度が高くなっても退居を求められないのが大きなメリットです。